松阪市の松浦武四郎記念館です。
当館では11月26日(日)まで、「メナシのアイヌとともに生きる~加賀伝蔵(かが でんぞう)、松浦武四郎、南摩綱紀(なんま つなのり)~」展を開催しています。 ![]() 【写真1:展示室の様子】 この展示では、松阪市から約1900kmも離れた北海道東部、野付(のつけ)半島のある別海町(べつかいちょう)から資料をお借りしており、松浦武四郎が、幕末に野付半島にいた秋田出身の商人・加賀伝蔵に宛てた手紙には、興味深いことが記されていますので紹介します。 松浦武四郎は、幕末の弘化2年(1845)から安政5年(1858)にかけて、6度に及ぶ蝦夷地調査を行っています。6回目の調査で、北方領土の一つである国後島(くなしりとう)へ渡る拠点とされていた野付半島を訪れた武四郎は、商人の加賀伝蔵と出会い、交流を深めます。武四郎は蝦夷地調査を終えた後も江戸で活動しながら、伝蔵と手紙をやり取りしており、お互いに信頼しあえる仲だったのでしょう。 武四郎は伝蔵宛の手紙の中で、「鮭のすずこ」を一樽送って欲しいと何度もお願いしています。「すずこ」とは「スジコ」のことで、鮭の卵であるイクラが膜に包まれた状態を指します。 ![]() 【写真2:加賀伝蔵宛松浦武四郎書簡】 北海道で獲れた鮭は、塩漬けにされて本州へと運ばれましたが、冷蔵・冷凍技術がなかった当時、「すずこ」は江戸でどれだけお金を出しても手に入らなかったようです。そこで、伝蔵は毎年武四郎のために、鮭を十匹と「すずこ」一樽を送ってくれたようで、武四郎はそのお礼に自分の出版した本や地図を、伝蔵に贈りました。 現代では冷蔵や冷凍することで、北海道からイクラを取り寄せることができますが、そうしたことができなかった当時、腐らせないよう塩で包んでから運んだのでしょうか。樽にいっぱい詰まった「すずこ」が送られてくると、武四郎はさっそくいろいろな人たちに配り、もらった人たちはご飯にイクラをのせて食べ、北の珍味に舌鼓を打ったことでしょう。 11月18日(土)、19日(日)は、関西の博物館や美術館が無料で見学できる「関西文化の日」により、松浦武四郎記念館と松浦武四郎誕生地は無料でご見学いただけます。 また、両日は松阪市文化財センターはにわ館、松阪市歴史民俗資料館(小津安二郎松阪記念館)も無料で開館し、その期間に学芸員からの挑戦状という共同企画も開催し、挑戦状に記されたミッションをクリアした各日先着50名様には、それぞれの館のオリジナルグッズをプレゼントしますので、ぜひご来館ください。 ![]() 【写真3:学芸員からの挑戦状チラシ】 この展示は11月26日(日)に終了し、27日(月)から30日(木)まで展示替えのため休館させていただいた後、12月1日(金)から来年1月28日(日)までは、「武四郎の出版活動」展を開催し、さまざまな著作を出版した武四郎の姿を紹介しますので、どうぞお楽しみに! ![]() ![]() 【写真4:展示「武四郎の出版活動」チラシ】 松浦武四郎記念館ホームページ ※フェイスブック、X(Twitter)、インスタグラムでも情報発信中 (山本 命 やまもと めい/松浦武四郎記念館) |
現在、三重県総合博物館(MieMu)では第35回企画展「鳥のひみつ調べ隊! みて・きいて・ふれて」を開催しています。
![]() 館蔵資料を中心に生物としてのトリの特徴や、絵画・工芸等に取り上げられた鳥など(生物としての鳥はカタカナの「トリ」で表しました。生物としての人も「ヒト」とカタカナ表記する場合が多いです)、自然系、人文系、民俗系を含めた展示を行っています。トリの剥製や骨格標本をはじめ、鳴き声や絵画などさまざまな展示を行っていますので、「みて・きいて・ふれて」トリの秘密を調べてみてはいかがでしょうか。来館お待ちしています。 さて、今回は趣向をかえてクイズを出してみましょう。四字熟語や百人一首に含まれるトリを取り上げてみます。まずは四字熟語から。カッコ内に入るトリにちなんだ漢字は何でしょうか。 夫婦の契りや男女の仲睦まじさを表す「(A)之契」(Aには漢字2文字が入ります)、「比(B)連理」、美人のたとえの「沈魚落(C)」、月と太陽、あるいは時間をあらわす「金(D)玉兎」、「白兎赤(D)」(どちらも同じ漢字が入ります)、あまり良い意味ではないが「陶犬瓦(E)」、「(E)鳴狗盗」(どちらも同じ漢字が入ります)。トリにかかわる熟語やことわざなどは他にもたくさんあります。興味があれば調べてみては。 次に、百人一首に出てくるトリについて。こちらは番号と詠み人を挙げてみます。「3.柿本人麻呂」、「6.中納言家持」、「62.清少納言」、「78.源兼晶」、「81.後徳大寺左大臣」。いかがでしょうか? ちなみに、四字熟語の答えはA:鴛鴦、B:翼、C:雁、D:烏、E:鶏です。また、百人一首の答えは、3:「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」、6:「鵲(かささぎ)の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」、62:「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」、78:「淡路島通ふ千鳥の鳴く声に幾夜寝覚めぬ須磨の関守」、81:「ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる」でした。 答えに出てくるトリはいずれも今回の企画展で剥製標本を展示しています。ぜひ現物を見てください。 (守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館) |
いなべ市制20周年 日本水大賞環境大臣賞受賞記念
「ネコギギ保全シンポジウム~ネコギギ保護をとおして ふるさとの未来へつなぐ~」を開催します。~WEBにて申し込み受付中~ ![]() 今年度、いなべ市教育委員会は10数年にわたるネコギギの保護増殖活動が評価され、日本水大賞環境大臣賞を受賞しました。 ネコギギはナマズの仲間で愛知県、岐阜県および三重県の川の中上流域のみにすむ、体長10cmほどの国指定天然記念物の淡水魚です。三重県最北部に位置するいなべ市を流れる員弁川(いなべがわ)とその支流にすむネコギギが絶滅の危機にあることがわかり、いなべ市では室内繁殖と放流による復活を試みています。 ![]() 大学教授等の専門家から指導を受け研究機関等とも連携して科学的根拠を持ち、地域に密着しながら事業を継続していることが、いなべ市のネコギギ保護活動の大きな特色です。 ![]() 今回のシンポジウムでは「ネコギギの保護をとおして ふるさとの未来へつなぐ」と題して、長年、いなべ市のネコギギの調査・保全にかかわってきた研究者を中心に、市民のみなさんに向けてわかりやすく講演やパネル談議をします。 また、ネコギギの保全に関わる学校、国・県の関係機関、水族館等によるポスター発表も行います。 【日程】 午後1時より<市民ホール広場前> ・ポスター発表(ネコギギに関わる学校・行政・水族館等13団体) 午後2時より<市民ホール> ・ 十社小学校 児童による学習発表 ・ 基調講演 「ネコギギの自然史と保全への挑戦」渡辺勝敏(京都大学) ・ パネル談議 「”郷土財”としてのネコギギの保全」 コーディネーター 森 誠一(岐阜協立大学) パネリスト 江戸謙顕(文化庁) 渡辺勝敏(京都大学) 田代 喬(名古屋大学)里中知之(元志摩マリンランド) <入場料> 無料 <定 員> 200名(先着順) <申込み> WEBにて申し込み受付中 締め切り10月27日 なお、シンポジウムの会場の藤原文化センターにおいて、10月28日から11月26日まで、藤原岳自然科学館特別企画展「ネコギギといなべの川にすむ魚たち」を開催しています。 三重県内で、天然記念物のネコギギを公開しているのは藤原自然科学館だけです。ぜひお越しください。 ![]() 藤原岳自然科学館のトップページ ネコギギ保全シンポジウムのページ (片山司 かたやま・つかさ/藤原岳自然科学館) |