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【海博】特別展「鳥羽の漁村 小浜 -漁師の知恵 道具の工夫 魚介の供養-」
鳥羽市立海の博物館の平賀です。

今回は現在開催中の特別展「鳥羽の漁村 小浜 -漁師の知恵 道具の工夫 魚介の供養-」を紹介します。 

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鳥羽市小浜町は、鳥羽市の最も北に位置する集落で、令和5年現在、戸数396戸、人口753人が暮らしており、うち42戸が釣り漁、タコツボ漁、刺し網漁、ワカメ養殖、カキ養殖などの漁業に従事しています。

大正10年頃(100年前)の「三重県漁村調査」には、小浜地区の戸数は189戸、うち専業漁業141戸、兼業漁業20戸、総人口1077人のうち漁家の人口が810人とあり、ほとんどの家が漁業で生計を立てていた「漁村」であったことが記録されています。
小浜地区は、旧海の博物館が立地していた場所から一番近い漁村集落であったことから、海の博物館が漁具や漁村資料の収集活動を始めた昭和45年頃から50年代にかけて、かつて盛んだったボラタテ網漁、タイやサメの延縄漁、タコやマグロの一本釣漁などに使われた数多くの漁具や製作道具類の寄贈をうけました。

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今回の特別展では、小浜地区から寄贈をうけた江戸から明治、大正、昭和の時代につくられ、使われてきた実物資料を中心に展示しました。またお寺に建つボラの大漁やタイの豊漁に関する「南無阿弥陀仏鯐鰡水族碑」(1基)、「南無阿弥陀仏鯐鰡鰶水族碑」(2基)、「南無阿弥陀仏螠虫(ユムシ)供養塔」(2基)の計5基の石碑については、拓本と写真を展示して現在では考えなれないようなボラの大漁があったこと、タイ延縄の餌につかうユムシをとる漁具の発明がタイの豊漁に繋がり、ユムシの供養塔が建てられたことなども紹介しています。

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展示したボラタテキリ網漁の操業模型と絵図(2点)、漁撈用具類200点、古文書10点、古写真27枚などと解説文をとおして、小浜地区でかつて盛んだった漁業の姿、また漁具類にみられる漁師の知恵や工夫、魚介類の供養を続ける漁村の人々の想いなどについて、理解を深めていただければありがたいです。

期間は2023年6月25日(日)まで。
鳥羽市立海の博物館の入館料金でご覧いただけます。

(平賀大蔵 ひらが・だいぞう/鳥羽市立海の博物館)
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[2023/05/14 22:00] | 未分類 | page top
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