スナドリネコは、インドやインドネシア・中国南部など南・東南アジアに広く生息するするネコ科ベンガルネコ属の動物で、魚を器用に捕まえて食べる習性を持っていることから英名を「Fishing Cat」とも言います。ちなみに和名の頭についている「スナドリ」とは、漢字で書くと「漁り」。まさに水に入って魚を漁(すなど)るユニークなネコと言えますね。
さて、そのスナドリネコ(愛称:パール)が今年の3月25日に3頭の赤ちゃんを出産しました。母親は昨年も2回出産を経験しており、計3頭の赤ちゃんがバックヤードで飼育されていましたが、今回3頭生まれたことで合計6頭の子供たちが昨年から一気に増えたことになります。ネコの仲間は妊娠期間が約2か月と人間に較べると非常に短く、特に野生のスナドリネコにおいては、繁殖は周年に渡っておこなわれているようです。そのため飼育係はしっかりとした繁殖計画を立てて無秩序に子供が増えないように気を使う必要があります。またすべての出産が今回のように成功するとは限りません。母親が育児放棄した場合に備えて、人工哺育の準備も必要になって来ます。鳥羽水族館の場合も最初から完ぺきな飼育が出来たわけではなく、失敗を繰り返しながら試行錯誤して今回の成功に辿り着いたのです。苦難を乗り越えて努力してくれた飼育係の皆さんにただただ脱帽するばかりです。
「成功の陰に失敗あり」「努力は必ず報われる」と言われますが、これはどんな職業にも当てはまるものではないでしょうか。
今回生まれた3頭の赤ちゃんは、まだ当分バックヤードで飼育されますが、もちろん展示の際にはお知らせ致しますので、その時はぜひ彼らに会いに来てやってくださいね。心よりお待ちしております。

(若井嘉人 わかい・よしひと/鳥羽水族館)
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