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【鳥羽水】超貴重映像、ダイオウグソクムシの脱皮
みなさんは、“脱皮”という現象をご存じですか?「だっぴ」と読みます。

これは、「ある種の動物において自分の体の成長にともない、その外皮がまとまって剝がれること」を示しますが、昆虫などの節足動物の他、爬虫類、両生類の成長過程に見られる現象です。ヘビの抜け殻を見たことがあると思いますが、あれは脱皮した後の皮膚なのです。 

その脱皮がなんとあのダイオウグソクムシに起こったのでした。ちなみにダイオウグソクムシの脱皮例は、世界にまだ8例しかないそうです。

ダイオウグソクムシは、エビやカニとおなじ節足動物の仲間で、おもにメキシコ湾や大西洋の水深800mの深いところでよく発見されます。我々の知っているダンゴムシによく似ていますが、大きさは20㎝以上、最大で50㎝にもなります。鳥羽水族館にも現在4個体が飼育されています。

さて、先月1月23日の昼過ぎに飼育担当者が、飼育中のダイオウグソクムシNo.28の異常な行動を発見しました。それは、腹部を少し屈曲させて上に持ち上げる行動だそうで、その行動が現れると十数時間以内に脱皮が始まることを前回の経験から飼育係が知っていたそうです。

担当者によると前回の脱皮は2019年に別の個体であったそうです。その時は15時にその行動が見られ、次の日に出勤するともうすでに脱皮は終了していたということでした。

飼育担当者は、今度は絶対に見逃すまいと、すぐ広報担当者に連絡し脱皮の一部始終をYou Tube でLIVE配信することにしました。
そして…。大勢の視聴者に見守られながら脱皮を続けるNo.28君。脱皮が無事終了したのは、日が変わった午前1時頃でした。

私が面白いと思ったのは、脱皮が体の前と後ろの半分ずつに分かれて行われることです。
実は脱皮というのは、殻を脱ぎ捨てることで殻に含まれるたくさんの石灰質を捨ててしまうことになります。そこであらかじめ前半分に石灰質を貯蔵しておいてから、後ろ半分をまず脱ぎ、その後、後ろ半分に再び石灰質を移して前半分を脱ぐのです。
今回後ろ半分を脱ぐことに成功したわけですが、前半分はこれからだそうです。実はこれまで飼育下での前後完全な脱皮は成功しておらず、すべて途中で死んでいるとのこと。
今はただNo.28の完全脱皮を祈るだけです。

①
①脱皮直前、まず石灰質が前半分に凝縮

②
②後ろ半分を脱皮した直後

③
③脱皮殻 

(若井嘉人 わかい・よしひと/鳥羽水族館)
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[2023/03/05 22:00] | 未分類 | page top
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