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【桑名市博】刀剣幻想曲・再演
ご無沙汰しております。桑名市博物館元職員のK.Mでございます。
桑名市博物館では本日より、今年度最後の展覧会 刀剣幻想曲・再演(とうけんふぁんたじあ・あんこーる) と特集陳列の桑名市出土品展-地面の下には何がある?- が始まりました。


刀剣幻想曲・再演は、令和元年度に企画されながら、開幕前に新型コロナウイルス感染症が流行し始め、結果日の目を見ることが叶わなかった刀剣幻想曲をベースにした展覧会です。担当のS.Hさんにとっては桑名市博での最後の展覧会となります。ということで、2年前展覧会のサポートをしておりました、不肖・Kが駆け足で刀剣幻想曲・再演の簡単なご紹介をさせていただきます。
「第1楽章 伊勢国ゆかりの刀剣」「第2楽章 個性あふれる刀剣」では桑名宗社蔵の太刀正重2振(ともに三重県指定文化財)・宗次の刀(桑名市指定文化財)を含め、刀剣類を35件出品しています。また、拵や刀装具の関係をご覧いただきやすくするため、拵をバラして展示したコーナーがございます。
「第3楽章 刀装具と押型」では27件の刀装具等と特別出品の押型をご覧いただけます。また、幻となった刀剣幻想曲展の一部を紙上開催という形で掲載していただいた中日新聞の記事もパネルで紹介されています。
今回の展覧会中、個人的なイチオシ(?)は「小柄 鶴亀の図(穂 六歌仙図)」(個人蔵)です。正しくは、その刀身。
刀剣展示で小刀をご覧になったことがある方でしたら、小刀のサイズ感は何となく分かっていただけることかと思います。その刀身に六歌仙図と何やらいっぱいの文字が刻まれている様子……
誇れるほどのものは何もございませんが、これでも古典文学(しかも中古)を専攻してきた身、「六歌仙」と聞いては引き下がれません。
良いでしょう、伊賀守藤原金道! その挑戦状、受けて立とうではありませんか!!
ということで、ミニオンズ身長(四捨五入して150cm)でケースを覗き込むのに苦労しつつ、単眼鏡なし、閲覧室外でカンペ(電子書籍の『古今和歌集』)を確認しながら和歌の特定に成功しました。すごい達成感!!
ちなみに、①6行・6首の和歌②六歌仙図③六歌仙の名前④菊花文と「雷除」⑤刀工の銘、が刻まれていました。あ、違いました。⑥「六哥仙」の文字も刻まれていましたね。
以前、百人一首を一口に一首ずつ刻んだ小刀を拝見して圧倒されましたが、いや小刀に6行刻むとか……定信の細写もなかなかアレですが、これまたいみじき小刀でしたね。
という話をS.Hさんにしたところ、「いや、単眼鏡なしであれを読むKさんも割と尋常じゃありません」というようなことを言われました。確かに、桑名市博の展覧会で今日ほど単眼鏡が欲しかったことはありませんでしたけれども……解せぬ。


刀剣ファンの方もだんだん増えてきましたが、一方で接点のない方にとって刀剣鑑賞とは取っつきにくいものなのではないでしょうか。(かつての自分自身が、どこをどう鑑賞すれば良いのかまったく分からなかった勢なので…)
2年前。流行を始めた新型コロナウイルス感染症の前に、開くことができなかった刀剣幻想曲は、当館流の「刀剣鑑賞事始め」といった一面があり、それは今回の刀剣幻想曲・再演にも受け継がれています。
「刀剣鑑賞ってなんだか難しそう……」そんな風にお思いの方にも、あまり構えずにご覧いただける展覧会になっているのではないでしょうか。

花も綻び、気候的にはお出かけしやすい季節になってまいりました。
刀剣幻想曲・再演と特集陳列 桑名市出土品展は5/8までの予定です。よろしければ、お気軽にお寄りください。
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[2022/03/12 22:35] | 未分類 | page top
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