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【四博】四日市市博の企画展「昭和のおもちゃ」に寄せて
これまで収集癖の結果として集まった「メジャー」「バーコード」「キャラ系鉛筆」について紹介させて頂いた。

今回はコレクションの王道とも言うべき「ブリキのおもちゃ」である。と言っても私が子どもの頃遊んだものは、今や骨董的な価値を持ってしまい数万円から数十万円もするので、仕方なく、それをコピーして造られた中国製のものや、日本の復刻版、現在でも製作されている安価なもので我慢している。

ブリキ③

そもそも日本の「ブリキのおもちゃ」は、ドイツ製品のコピーに始まり、明治初期の<第一次黄金期>と大正の<第二次黄金期>を経て、昭和戦前期のオリジナル試行錯誤の時期から、戦後(1945-1960年代)には、今日の自動車産業にも匹敵するような、世界進出と外貨獲得の中心となる<第三次黄金期>を迎えている。そこでは「からくり」的な超高度な仕掛けや動きまで備えていた。

ところが1970-80年代に入ると中国・台湾・韓国などのコピー製品や、ブリキに替わるプラスチックなどの素材が出現し、大きな変化をもたらす。その頃は、おもちゃ関係の出版や展覧会が相次ぐなど、早くも過去の歴史検証や、懐かしむ傾向も出てきて、したがって1990年代以降の時代には「ブリキのおもちゃ」は、最早子どものものとしてよりは、大人の趣味・コレクターグッズとしての性格を強めている。コレクター向けに日本製の復刻版が多く出てきたのもこの頃である。

「メジャー」「バーコード」「鉛筆」などは集めた成果物を並べて、「うっとり」と、いつまでも眺めているなどということはないのだが、「ブリキのおもちゃ」については並べて、


並べ替えて、磨いて、眺めて、ニヤニヤして、癒される~。

独特のポップな色彩感と愛嬌あふれる形、丁寧な手作り感覚。現代の玩具に多いプラスチックと違って、年代を経れば経るほど、しっとりとした艶が出て、言いようのない透明感を備えてくる。

ブリキ①

こういった玩具の背景に広がる当時の子ども文化、<駄菓子屋><原っぱ><ガキ大将>などと言うキーワードを中心とした遊びの文化・世界への思いが断ちがたくて、未だに「ブリキのおもちゃ」にこだわっているのかも知れない。

少なくとも1964年新幹線が開通し、東京オリンピックが開催され、現代化・都市化・東京中心の波が地方へも押し寄せてくる頃までは、私の周りには、今では手に入れることの出来ない、ひとつの文化・世界が確実にあった。

展示⑤

そんなわけで今、四日市市博の企画展「昭和のおもちゃ」(2月27日まで)で展示されている私のブリキ玩具コレクション(現在は四日市市博蔵です)も、お暇と興味がございましたら、お出かけいただければ嬉しいです。

 (吉田俊英 よしだ・としひで/四日市市立博物館)
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四日市でぜひ昔の思い出にひたってみてください!
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[2022/02/06 22:00] | 未分類 | page top
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