本居宣長記念館の井田です。
小中学生の社会見学や修学旅行での来館が増えるこの時期、
たまに「のぶなが?」と言われ、織田信長に負けたような気がして切なくなったり悔しくなったりしています。
本日は当館で12月26日(日)まで開催の「秋の特別展 伊勢人宣長(いせびと のりなが)」の宣伝にやって参りました。
本居宣長は松阪出身の国学者です。
10月中旬のブログで、松阪市立歴史民俗資料館の川口館長が紹介された3人の本草学者たちとも少しずつ重なる、江戸中期~後期に活動しました。
宣長の代表作といえば、言わずと知れた『古事記』の注釈書『古事記伝』ですが、
“内容を読んだことがある”人口が多いのは、むしろ
随筆集『玉勝間(たまがつま)』の方かもしれません。
宣長の思想や内面をうかがい知ることができる文章として、また読み物としても人気が高く、版本にして全14巻(1005項目)の中からピックアップして現代語訳したもの、昭和の頃には古典文法の解説書の題材にしたものもありました(『玉勝間』の品詞分解!)。現在でも、
高校の古典の教科書などで取り上げられています。
今回の展示では、その中の
「伊勢国」という文章をひとつの目玉に据えています。
『玉勝間』草稿いわゆるお国自慢ともいえるのですが、伊勢国は他国と比べても暑さ寒さが厳しくない(でも風は強い)こと、農作物・海産物が豊富に採れること、言葉の訛りはあまり強くないことなど、
今の私たちでもうんうんと頷きたくなる内容から、年中伊勢参宮の人々で賑わうこと、中でも、江戸店持ちの商人が多い松阪では商家の主人が豊かな暮らしをしていることなど、当時の様子を伝えてくれています。
今回の展示では、この文章の状況を少しでも視覚的に、具体的に感じていただけるよう、伊勢参宮に関わる資料から、伊勢国内の人々とやりとりした手紙、地元での行楽の記録など幅広い資料を並べました。
ちなみに
「伊勢国」、ワープロソフトで文字数をカウントしてみると1142字でした。
分量的にはこのブログとほぼ同じくらいといったところでしょうか。
1000字程度で地元のことを書いてくださいと言われたら(尤も、宣長は依頼を受けたわけではありませんが)自分ならどんなことを書くだろう、何が書けるだろうとぼんやり考えつつ、今度来館者の方にも尋ねてみようと機会をうかがっています。
本展はほぼ年内いっぱい、
12月26日(日)までの開催となっております。(次回冬の企画展は、年内は12月28日(火)の1日のみ。残りの会期は年明けに続きます。)
また、年が明けた令和4年(2022年)には、松阪を代表する商人・
三井高利が生誕400年を迎えます。今後も松阪の動向をお見逃しなく!
(井田もも いだ・もも/本居宣長記念館)
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宣長の先祖は北畠氏なんで、先祖も織田信長にやられており切なくなったり悔しくなったりしますね・・・。
しかし宣長先生には素敵な随筆集がございます。前回紹介した商人の建物とあわせてぶらり松阪探訪を楽しんでみるのも良い秋の日の過ごし方ではないでしょうか。
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