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【四日市博】マンガとミュージアム
1949年生まれの私が子どもの頃、マンガ(漫画)は子どもが読むもの、大の大人が読むなんて、と言う時代だった。

ところが今や、マンガは立派に独り立ちしたメディアになって、世界へ輸出する日本の重要な産業、誇れる文化でもある。

通勤電車の中で、本やスマホを通してマンガを読んでいる大人なんて近頃珍しくもなんともない。表記も「漫画」から世界にも通用するような「漫画」「MANGA」への変化が一般的になってきた。

そんなメディアとしてのマンガには、当然のごとく「世界史」や「日本史」ばかりでなく、「文化史」「美術史」「美術」「美術家」をテーマとするものが数多く現れて来ている。

さらに1990年代以降になると博物館や美術館、そしてそこに働く学芸員や職員をテーマとしてマンガが登場して来た。

1997~99年 岡崎二郎『国立博物館物語』 1~3  (小学館)
2012年 井上ふき『めがねのキミと博物館』(芳文社)

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2015年 オノユウリ『美術館で働くということ』(KADOKAWA)
黒田いずま『美術館のなかのひとたち』1~3(~2017) (竹書房)
2017年 宇佐江みつこ『ミュージアムの女』(KADOKAWA)

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2018年  大田垣晴子『ぶらぶらミュージアム』(交通新聞社)
2020年  久世番子・絵/ 栗原祐司・監修『博物館ななめ歩き』(文藝春秋)
2021年  鷹取ゆう『ただいま収蔵品整理中!』(河出書房新社)

先行する岡崎二郎の『国立博物館物語』は、科学系の博物館で、AIや地球環境、生命の継承など今日でも中心的なテーマとなる問題に取り組んでいる。

井上ふき、オノユウリ、黒田いずま、鷹取ゆうの作品は、美術館・博物館に詳しく取材して、もしくは自分の実習経験から、現場に働く人じゃないと分からないような出来事や問題を、ユーモアを混ぜて描いて見せる。

また、宇佐江みつこの作品は現役の案内・監視スタッフという立場の経験や視点から描かれたユニークな作品となっている。さらに各美術館・博物館の概要、案内書を兼ねた『ぶらぶらミュージアム』や『博物館ななめ歩き』も、分かりやすく親しめる図柄で、行ってみようと思わせる魅力を持った本である。

このように従来とは異なったメディアと視点によって取り上げられることは、『鬼滅の刃』の大ヒットで博物館の刀剣に大きな注目が集まった例を持ち出すまでもなく、美術館・博物館にとっての新たなファン層の拡大へとつながっていくのではないだろうか。
(吉田俊英/四日市市立博物館)
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いくつか読んだことありますがどれも面白いですよね~。私のおすすめは『ギャラリーフェイク』と『にゃいず』です。
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[2021/05/09 22:00] | 未分類 | page top
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