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【三重県博】化石を通じて交流学習
■みえむは県の人づくり、地域づくりを手伝うぞ~!?

三重県総合博物館のルーツは、昭和28年に設立された三重県立博物館です。
2014年、「みえむ」という愛称でリニューアルオープンしたとき、県の人づくり、地域づくりのお手伝いが、重要なミッションとなりました。お手伝いすると書いた以上、なにか具体的なアクションをしないといけません。

その取り組みの一つがここでお話しする化石学習です。

■美里で化石学習をするぞ~!

津市の西部、布引山脈の麓には、今から約1600万年前の海に堆積した地層が分布していて、そこから沢山の化石が見つかることで全国的に有名です。しかし、子ども達がけがをしてはいけないとか、様々な制約もあってか、津市ではこれを生かした学習はされていませんでした。

私は5年前に、三重県総合博物館に赴任しました。京都の南東、宇治田原町にも、同じ時代の地層が分布していますが、ねこの額ほどの面積しかありません。それでも細々と化石学習が続いています。

津にはそこかしこに地層と化石が分布しているのに、なんとももったいないことです。

そんな気持ちを抱いていたとき、化石学習のお手伝いをしていた宇治田原町立田原小学校の校長先生から、6年生の子ども達をつれて、みえむを見学したいとの申し出をいただきました。2018年のことです。

■意外なつながりが後押し

この事を耳にした文化協会代表の辻本當氏から、それならせっかくだから、同じ化石のでる津市のみさとの丘学園の6年生と交流をしてはどうかとの提案がありました。

2017年、みえむでは、津文化協会、半泥子と千歳山の文化遺産を継承する会と協力して、交流展「よみがえる半泥子の千歳山荘展」を開催しました。大正・昭和期、茶陶の美の世界に大きな変革をもたらした川喜田半泥子が大正時代に津の郊外、千歳山に建てた千歳山山荘、現在は解体保存されていますが、その復元・再建運動の一環の展示でした。

その先頭に立っておられる一人が津文化協会の辻本當氏でした。

辻本氏が根回しをしてくださり、11月17日には、津市教育委員会のスタッフも交えてみさとの丘学園を訪問し、提案したところ、快諾していただき、実施へ向けて動き始めました。担任の大西健充先生が「理科の観点だけでなく、京都の児童とふれあうことで、子ども達の視野も広がる」とおっしゃったのが印象的でした。

■いよいよ決行

さて、いよいよ11月30日、決行の日が来ました。化石がよく観察できる県の天然記念物貝石山の露頭で田原小とみさとの丘学園の6年生達が合流、化石の入っている地層を見学しました。

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その後、美里文化ホールに置かれている、化石の沢山入っている地層標本を触れながら観察、その後両校の生徒達が混ざり合ってグループをつくり交流学習をしました。

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貝石山は天然記念物で、化石の採集は出来ませんが、田原小学校の子ども達から、一人一人化石をプレゼントされ、みさとの丘学園の6年生は大喜びでした。こんなこともあって、子ども達はとても熱心に交流行事に取り組んでくれました。

■学びの機会を続ける

11月30日の行事、お手伝いした私たちは、大成功と思いたいのですが、果たして生徒達の反応や如何に。
自分たちの善意のお仕着せになっていないか、大変気がかりでした。明くる2019年2月12日、この年も化石学習が出来ないか、みさとの丘学園の先生方、津市教育委員会、津文化協会、美里文化協会、そして総合博物館が相談会をもちました。
会場のみさとの丘学園には、11月30日の学習について6年生が作った壁新聞が、一面に張られていて、熱気と共に子ども達が良い学びをしてくれたことが一目瞭然に見て取れ、安堵しました。同時に、化石学習を続けることの意義を確認しました。

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■思わぬ展開

壁新聞は、しかし、思わぬ展開を引き起こすことになります。新聞をみた4年生達が、「化石がとれるんやー」と大感動、勝手に化石グループなるものを結成、ワッペンまで自前で作り、早速行動に出たのです。しかし、行動の舞台はなんと校庭。そこら中を掘りまくったのです。

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化石の産地ですから、校庭の盛り土にも化石の入った石が含まれています。そして、ついに子ども達は、ミサトツノガイをはじめとするいくつかの化石を発見、意気揚々と校長先生にお披露目したのです。心優しい校長先生、4年生の行いを喜んでくださいました。

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こんな事もあって、2019年も化石学習を続けようという機運が高まりました。しかし、そのためには、教材として化石を調達する必要が生じました。この化石を調達するのがなかなかの難題でした。化石調達にまつわるエピソードは、いずれ続報にてお伝えします。
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子どもたちの輝くような笑顔が象徴的ですね。地域交流についても非常に重要なところで、ミュージアムの役割のひとつ、「人と人をつなぐ」役割を見事に実践していらっしゃいます。続報もあるとのこと、楽しみですね!
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[2021/01/17 22:00] | 未分類 | page top
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