昨年はコロナに振り回され、皆さん本当に大変な一年を送られたかと思います。まだまだ収束(終息)の兆しも見えず、不安な年の始めですが、くれぐれも健康には気を配り、頑張っていきましょう。
ところでお正月最初に食べるお雑煮、皆さんのお宅では、
中のお餅は丸形ですか、四角ですか?
また焼いた餅ですか、焼かずに入れますか?
そして汁は「すまし」ですか、「みそ」ですか?
私は仙台に生まれ、就職するまで東北に住んでいました(26年間)。その後名古屋に住み(25年間)、奈良に単身赴任し(8年間)、2009年からは再び名古屋に居住しています。狭い範囲ではありますが、日本の東と西の文化、風習の違いを体験し、すごい面白さを感じています。
ちなみに私の実家の雑煮は
「すまし・角餅・焼く」です。
これを全国的に見たある調査<註1>では、
富山―石川―福井―滋賀―京都―奈良―和歌山を結ぶ線より西は、
「みそ・丸餅・煮る」が中心。
一方、新潟―長野―岐阜―愛知―三重を結ぶ線より東は
「すまし・角餅・焼く」が中心だそうです。
ただし、「焼く」と「煮る」には同一県内でも異なった地域も多く存在するとのこと【表Ⅰ】。
【表Ⅰ】

もちろん例外もあるとは思いますが、大きな傾向としての日本の東西文化の違い面白いですね。
そう言えば、私が
三重の言葉でびっくりしたのは「ささって(三明後日)」。
【表Ⅱ】のように、今日から数えて1日後(あした/明日)、2日後(あさって/明後日)までは全国ほぼ同じ言い方。
しかし、3日後から違って来る。
「やのあさって」と「しあさって」の順番が地域によって全く反対に用いられることに、一体どうなっているんだと疑問に思っていたところに、三重(特に伊勢志摩地域)の「ささって(3日後)」「しあさって(4日後)」が登場した。
さらに関西以西では「しあさって」「ごあさって」と言うこともあるらしく、
もうこれはお手上げ状態。
【表Ⅱ】

どれが正しい、間違っているということではなく、世界中の国に比べて、そう広いという訳ではない日本の国土に、これだけ多様な文化や生活様式が存在していることが、楽しく、面白く、貴重なことだと思いませんか。
近年の日本史学、民俗学の研究成果では、日本の東西の違いだけでなく、南(沖縄や南西諸島)と北(北海道)の独自の文化をも加えて、日本には4~6つの異なった基盤を持った文化・風俗が存在し、それは現代までも影響を与えているということです。そうした風俗や伝統を、これからもリスペクトし、何よりも楽しんでいけたらと改めて考えている今年の正月です。 (四日市市立博物館 吉田俊英)
<註1> 朝日新聞「日曜ナントカ学」(2008年5月25日)
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吉田俊英館長からお雑煮を食べたくなるコラムをお寄せいただきました。
本年もどうぞ三重県博物館協会を宜しくお願いいたします!
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