ミュージアムの大事な仕事に収蔵品の管理というのがあります。
桑名市博物館の場合、収蔵品は収蔵品番号を附せられ、所蔵場所と紐つけていますが、例えば展示した際に戻す棚を間違ってしまったり、違う番号を登録してしまったりすることがあったりしてはいけないので、定期的に棚番号と作品の整合を進めています。 そこで先日調査した際の記録を少し紹介したいと思います。 0353 和歌「大そらを…」相馬御風 平成11年に出品されて以来、21年間出品していない作品です。 作者の相馬御風(そうま・ぎょふう/1883-1950)は新潟糸魚川の出身。 お父さんは糸魚川町長で、本名は昌治。 早稲田の出身で「都の西北」の作詞者です。ちなみにお酒「都の西北」は竹下元首相の実家・竹下本店さんでつくられています。 糸魚川には相馬御風宅も保存されているようですので、がぜん糸魚川への興味が増しました。 0346 和歌「伊勢路より…」佐佐木信綱 三重県民なら佐佐木信綱はご存知ですよね!(力入れ気味) 知らない人はぜひこちらをご覧ください。 石薬師出身の歌人で文化勲章受章者です。先ほどの相馬御風も佐佐木信綱の教えを受けたそうですので、偶然とはいえ子弟の繋がりの調査順でした。 なおこちらは展示履歴はありません…まだ見ぬ強豪です…。 0354 和歌「ひむかしの…」 菊池幽芳 菊池幽芳(1870-1947)は家庭小説の名手として知られた小説家。なのですが知らない…。 『乳姉妹』(ちきょうだい)とあったので「あ、あの昔のドラマの!」と思いましたが全然違いましたスミマセン…。 そこで勉強です。 関肇氏「反転するメロドラマ : 菊池幽芳『乳姉妹』を読む(読む)-」(『日本文学』2008 年 57 巻 7 号) で勉強させていただきました。とても面白い論文です。 『乳姉妹』は明治36年8月から12月に『大阪毎日新聞』に連載されたんですが、物凄い人気を博したようで、 ・新聞到着の時刻を計ってみんな売店へやってくる ・夜の三時頃に配達されるのを寝ずに待っている というようなフィーバーぶりだったようです。 その内容ですが、ヒロイン・房江は幼い頃に母と死別し、出生の秘密を知らないまま乳母に育てられます。乳母の娘・君江は房江が松平侯爵家の落胤という秘密を知り、出自を詐称して自らが松平家の令嬢になりすまします。娘(君江)の養育の御礼に、と松平家に引き取られた房江は松平家の養子・昭信と愛し合うようになりますが君江に邪魔されます。昭信は君江と結婚することを決めますがそこへ君江とかりそめの婚約をした高濱勇が米国から帰国、君江を殺してしまいます。それとともに房江の出自があきらかになり、昭信と結婚するという…まぁそのなんというかジェットコースターメロドラマでして、確かに何か熱狂的に支持されそうな感じは受けます。 スポンサーサイト
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