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ブログde展示解説その3@刀剣幻想曲
桑名市博物館の元職員・K.Mです。
3月いっぱいで博物館を離れたのですが、さる三博協理事の方から「良かったら続けて」とご依頼がありましたので、お言葉に甘えまして、今しばらく好き勝手書いていきたいと思います。
これまでの「ブログde展示解説」もそうですが、概ね展示解説で話そうと思っていたことをもとに書いております。記事に書いた以上の意図はなく、内容の「裏側」を推測していただくには及びませんので、あらかじめご了承ください。(上記の通り、私自身、知っている「最新情報」はみなさまと同じ公式情報ですので。)
また、記事中、煩雑になるのを避けるため桑名市博物館のことは「当館」表記で通します。出てくるか分かりませんが。


ということで、ブログde展示解説@刀剣幻想曲、その3は、三度目の正直! 「村正」についてです。
(実質4回目な気がしますが、お気になさらず!)









「村正」と言えば、日本刀に詳しくなくても聞いたことがあるランキングがあったら、恐らく5本の指に入る刀工でしょう。
いわゆる「妖刀伝説」で有名ですが、その実体は、大量生産・比較的安価でよくきれる、と三拍子揃った実用刀。日本刀界のユニク○のような存在です。
例えば、村正と同じくらい有名な刀工に正宗がいますが、国宝・重文に指定された作例が数多くある正宗に対し、村正は県以下の指定文化財を除けば「妙法村正」が唯一重要美術品に指定されているだけ。国宝・重文は現状、ゼーロー! です。
(重要美術品とは、現行の国宝制度の前、「旧国宝制度」の頃に国宝に次ぐ価値があるとして指定された美術品のことです。現行の制度で指定され直すこともありますが、「重要美術品」のままの場合は便宜上、重文の下、各都道府県指定文化財の上くらいに位置づけられます。)
美術品としての価値はあまり高くない、というのが恐らく一般的な村正に対する評価でしょう。


村正は室町時代中期頃から数代続いた刀工です。確かな記録が残っているわけではありませんが、初代は美濃赤坂出身、桑名に移って走井山の辺りで作刀していたと言われています。
日本刀はその刀剣の種類(太刀とか刀とか短刀とか)と、作品(刀剣)に刻まれたサイン(「銘」と言います。)とによって呼称されることが多いです。銘がなければ「無銘」、伝来のエピソードなどに因んでつけられた「号」によって呼ばれることもあります。
銘には、「いつどこで作刀した」ということが刻まれていることもありますが、刀工の名のみ、ということもあります。「刀剣幻想曲」展の出品リストに「短刀 銘 村正」が2振あるのも、このようなわけです。

村正の特徴のひとつは、「たなご腹」と呼ばれる茎の形状です。茎は柄の中に入る部分のことで、銘が刻まれていたり、刀身を柄に固定するための「目釘」を通す穴「目釘穴」が開いていたりします。この茎の形状が、たなごという魚のお腹に似ていることから、つけられた名称です。これは茎が長い刀よりも、短刀で顕著に見られる特徴です。
他の美術品としての価値が高い刀剣の数々もすばらしいと思うのですが、個人的にはこの村正のたなご腹ラインが大好きで、いろいろな刀剣が展示されている展覧会を観に行っても、短刀の村正があれば最終的にはその前に落ち着いてしまいます。もはや刷り込みの域です。短刀村正のたなご腹、かわゆいですよ!
……まぁ、鑑賞する際の好みに「正解」はないと思いますので、みなさまもぜひ、ご自分なりの、そして他の方の「ここが好き」を大切になさってくださいね。

村正の特徴としては、「表裏揃った刃文」も上げられることが多いですね。
昨年でしたか、某アニメ映画の再放送で「表裏揃った刃文……村正やな!」みたいなシーンを観て、あの状況で刀身の裏表の刃文をどうやって確認するのかという野暮なことが気になりました。以前観た時は刀剣についての知識がかけらもなくて気にも留めなかったことを思えば、私も成長したものです。
村正はさまざまな刃文を焼いていますが、波のような「のたれ」が比較的多いように思います。ただし、一口に「のたれ」といっても多種多様。
のたれだっていろいろ焼き乱れるのです。(乱れ刃だけに!)
村正を複数見比べられる機会には、ぜひその変化に富んだ刃文も見比べてみてくださいね。



さて、これ以上書くと話が散漫になりそうですので、今回はこの辺りで。近いうち(目標!)に村正その2を書きたいと思います。



緊急事態宣言が全国に出されて、一週間。ミュージアムに限らず、あらゆる業界にとって苦しみの多い状況となってまいりました。
自粛、自粛で辛い日々を送っている方も多いと思いますが、まずは医療関係者はじめ現場で対応に当たっているみなさまに敬意を表しつつ、ご自身と大切な方を護るために、そして1日も早く日常を取り戻すために、できることからしてまいりましょう。
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[2020/04/25 18:21] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
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コメント
村正展Ⅰ・Ⅱへ行き、Ⅱでは解説が大変面白くw是非このキャプション付けた方の解説会とか参加したいなぁと思っていたのですが、3月末で博物館から離れた!?てか、KMさんがその面白解説wの方ですよね?
え、もうあの面白……興味を掻き立てられる解説は見れないんですか??
ブログは続けられるとの事ですが、大変残念です。

また、秋の刀剣展では、先日NHKで放送された春日総社の漆塗りの村正・研ぎ直してその輝きを取り戻した宝刀村正も出るんですよね??
大変楽しみにしていますので、それまでにコロナ収束してる事を祈ります。

ブログも楽しく読ませて頂きますので、また村正トーク期待しています。
[2020/04/25 19:24] URL | 安倍 光明 #i31uCHNU [ 編集 ]
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