![]() 存星花鳥絵椽籠軸盆 桑名諸戸家所蔵 桑名市博物館蔵 2017新規収蔵 19.0 38.3 4.8 存星とは中国・明代に行われた漆工技法の一つで、沈金の技法で文様を表わし,それに彩漆 (いろうるし) を塗りこめるか,または文様に彩漆を塗りこめてとぎ出したもの。存星の名は日本での呼称で,その由来は不明。昭和四年の売立目録に掲載されており越前松平家所蔵であるのがわかる。ご教示いただいた中之島香雪美術館梶山博史先生にお礼申し上げる。なお同館では「明恵の夢と高山寺」が好評開催中である。また軸盆とは掛け軸や巻物をのせる、長方形の塗り物の盆。床・書院などの飾りとする。 ----- 昭和4年売り立て 「旧越前福井城主 松平侯爵家御蔵品入札目録 昭和四年二月十日・十一日下見 同十二日入札並ニ開札 場所 東京都芝区愛宕下町四丁目 東京美術倶楽部 札元 東京 伊藤平山堂、川部商会、中村好古堂」 掲載作品名「一五四 存星花鳥絵椽籠軸盆」 ----- 双龍存星軸盆 九州国立博物館蔵 ほぼ同寸 2014五島美術館で存星展 ----- 昭和4年2月12日 東京美術倶楽部 旧福井藩主松平家は、江戸時代の親藩大名の中でも御三家に次ぐ家格を誇る。幕末期には開明派大名として、幕府政事総裁職に就き、維新直後には、民部卿、大蔵卿に就いた松平慶永(春嶽)を輩出した家である。同家の売立も、金融恐慌に端を発する十五銀行の破綻で、保有資産の回復を図ろうということが目的であったかも知れない。 住吉具慶筆「徒然草画帖」(現、東京国立博物館)など、今日の日本美術史的な価値観からすると、注目すべき作品も存在した売立であったが、総売上額は300,000円余に過ぎなかった。金融恐慌後の不況の深刻化による買い手側の減少に加え、間近に控えた明治・大正期の大コレクター藤田家の入札などに資金を投入したいという思惑を有する買い手も多かったことが影響したのではなかろうか。[高松良幸研究室ANNEX] ※十五銀行 昭和2年4月に経営破綻 スポンサーサイト
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