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桑名時計商組合の金銭出納簿
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各館とも謎の史料というのがひとつやふたつあると思うんですけど、今回『元号と宸筆』展の開催にあたり館蔵史料をわさわさ探していたところ、大正時代の史料に当たりました。それがみだしの史料、時計商組合の金銭出納簿です。

ミュージアムの仕事は「ほいッ」と飾れば良い、というような仕事じゃないのはみなさんご存じですよね。

これだけ置いておいて「大正時代の時計商組合の金銭出納簿です」なんて説明文書いていても何も伝わりません

「ボーっと展示してるんじゃねえよ!」とチ●ちゃんに叱られます。

説明文を書くためにはまず調査です。これが無きゃ何も始まりません。

ミュージアムの資料調査というのはどういうことをするのか、というとまず基礎調査にあたるのが

1)寸法

です。寸法は展示作業の際にケースに入るかどうか、等様々な場面で大事なデータなのできちんと取ります。
箱とかも大事なので取ります。
皆さんも写真や図録で見知っていたものを実際に見た際に「え、デカい」「あれ意外とちっさい…」と思ったご経験がおありじゃないでしょうか。

私も教科書で目にしていた神護寺の源頼朝像を旧京博で観た際には子ども心に「うわデカ!」と思いました。。。

個人的に一番寸法を取るのが嫌なのが巻子です。

当館の場合は採寸を一紙ずつ取っていくので1人じゃ大変ですし最後まで開けなきゃいけませんしさらに戻さないといけない...。

太巻3本なんて出て来た暁にはオゥ…ジーザス…と思ったりした日もありました(遠い眼

体験事業で巻子地獄を味わっていただくのも良いですね!今度の秋の体験事業はそうしよう。
今回は冊子なので楽。縦横を取って終了。中の枚数は最近数えないですね、全撮しちゃうので…。

全撮とは当館用語で「全頁撮影しちゃうこと」です。

2)材質形状
保管や展示計画にもかかわってきます。紙なのか金属なのか、絹なのかそうした事を調べます。

また形状、これもすごく重要で掛け軸と思って行ったら額!とかの場合は輸送用につくってた箱が無駄無駄無駄無駄無駄ァ
なりかねませんから重要です。

本資料は当然紙です。表紙は厚紙で、中は罫紙入りの帳面に半分に線引きして上部・下部をそれぞれ収入・支出に宛てています。中は墨で書かれています。

カッコよく言うと「紙本墨書/シホンボクショ」です。

こじゃれて「カミホンですー」と言うときもあります。業界ぽさですね。

3)撮影
基本的に今はデジタルです。簡易と本撮影(ホンサツ)の2種があり、ポスターや図録用のはちゃんとスポット入れて撮影する本撮です。今回はあっさり簡易で全撮しときます。

ここまで終われば次は内容の検討です。
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[2019/04/28 23:37] | 未分類 | コメント(0) | page top
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