40周年記念展の参加していただきたかったものの、参加できなかった館がある。2014年3月30日で閉館した、秤の館である。
お互いに連絡を取り合って、閉館はするものの、何らかの形でできればいいなと話し合っていたのだったが、諸事情から困難となった。館長の秤屋建蔵さんとお電話も含めて、お話しさせていただいた都度都度、色々なお気遣い、そして心にぐっとくるお話、色々印象深いものがあった。 三重県博物館協会の事務局になってから、何度となく電話で連絡を取り合い、お声だけは何度も拝聴していたものの、お会いする機会が無かった。そんなことで、休日にプライベートでうかがった。もちろん、何のアポイントも取っていなかった。そして、三岐鉄道保々の駅の近くにカーナビを定めて、少し広い道から、最後細い道をグニャグニャと行くと、秤の館に到着した。秤の館はご夫婦で、ご自身のコレクションを紹介されている館で、月曜と年末年始休館でその他の日は9時30分から17時まで開館されていた。個人宅でとなると、人に乞われたときにあける形態がよくあるが、ここは特に、お店を経営しているわけではないのに、ほとんど毎日開館していたわけである。展示室・展示資料、開館の状態も含めて資料館というにふさわしい館なのだった。 早速中に入って、観覧希望の旨を告げる。ご夫婦で丁寧に説明をしてくれる。気遣いしてもらうと悪いし、普通にみたかったので、何も名乗らず帰って行こうと考えていたのであるが、余りにも親しく対応してもらったため、嘘をついているような気分となり、早々に白状した。いつもお電話でおはなしさせていただいています、名乗らずごめんなさいといったことを、ごにょごにょと挨拶させていただいた。これまでの経緯や、秤の解説はもちろん、私自身の仕事へのアドバイスなど、非常に心温まるお話をいただいた。相手の、雰囲気を読みとり、そしてその雰囲気に応じて、自分たちの伝えてあげたいこと(それは何もものの説明だけでは無く、ものを出発点とした人の話となる)を伝える。そんな感じであった。 さて、秤の館について、どんな資料館だったのかということを知るための資料を紹介しておこう。これらの資料は、秤屋建蔵さんからいただいたものである。 まずは、大阪府立弥生文化博物館の図録、『平成19年度夏季企画展 計る・量る・測る―度量衡の歴史展』である。この中で、「3はかり・あれこれ―秤乃館所蔵資料精選」という項目がとられて、多くの秤が載せられている。本の最後に付いている、出品目録を見ると、物指・ゲージほかが166点、原器・基準尺ほかが9点、測量器が16点、枡が150点、秤が171点、原器ほか3点、中国の度量衡53点、さまざまな計量器52点、諸外国の度量衡22点と642点を数える。圧巻というほかない。品も安土桃山時代のものから、古今東西幅広い。 そして、『ラジオ深夜便』151(2013年2月号)である。ここでは、巻頭カラーで秤屋さんの笑顔とともに取り上げられている。子どもの頃から、古いものを集めるのが好きで、広告代理店に勤めながら秤乃収集を続け、1991(平成3)年に秤の館をオープンさせたというエピソードが添えられている。ここでも、滋味あふれるお話が少し紹介されている。きっとラジオ深夜便でも、そのお話が展開されたのだろう。 そういえば、昔、このコレクションを集めはじめたときの面白いエピソードが、県の外郭団体などがだした広報誌かなにかに載っていたような・・・。また、これも、調べてご紹介しよう。 スポンサーサイト
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