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「薩摩と桑名」展覧会の出来るまで②
11月中におおよその館蔵品での出品リストが固まってくると同時に、市内個人やお寺さんへの借用および協力交渉を行うことになる。こうした交渉(ネゴ)も重要な学芸員のスキルの一つである。学芸員はその職業柄、様々な階層の人と話をすることがあるので、一定程度の会話技術は習得している必要がある。また、会話のネタを日常から拾っておくのも大事な素養である。

私が個人宅などへ借用の依頼等に行く際に気をつけていることは、マナー等も勿論だが「どうした調度品をあつらえているか」に目を光らせることだ。床の間に掛かっている掛け軸、飾っている置物類、蔵書棚などがあればざっと目を通し、(ギブツであるかも自分なりに判断し)その個人がどうした傾向を持つ人物かを瞬時に判断するのである。

とにかく11月中にそうしたアポを取り、市内の輸送なので公用車の予約と先方との集荷の調整を行う。また保険を掛ける必要があるため保険業者と契約の書類を作り、現金の準備をする。保険の場合は先に払い領収書を切られた段階で効力が発生するため、事前の契約が必須である。こうした場合には事前に現金が必要で(これを「資金前途」と呼ぶ)、会計用の書類を作るのである。幸いウチには優秀な部下がいるので大体このあたりの書類作りはやってくれる。大助かりである(^∀^)ノ

さて浮世絵の返却と同時並行(12月頃)で、仮に作ったリストを眺めてみると、流石に展示品が足りない。
埋まるのは1階だけと判断し、2階は別テーマの館蔵品展にすることに。学芸担当の臨時職員で、日本画専門の子がいるので、その子に2階の展示案作成を依頼。優秀な子なのでまぁ心配はないだろう。後見役としてO塚歴史専門官もいるのでまぁ無問題だ。繰り返しになるが、こうしたことが可能なのもモノ持ち館だからである。

出品リストと展示プラン(通称「展プラ」)の作成は重要事項だが、作業的にもっとも早いのは、いわゆる

「目玉の選定」

である。いわゆる、ポスターに掲載したり、HPなどで紹介する今回の主役、センターの選出だ。

今回の展示では3月の展覧会であることと、やはり丸十字がビジュアル的に強いことを勘案して「丸十字紋の雛道具」を選んだ。中でも「婚礼調度の筆頭」こと「貝桶」はやっぱり外せない。8年前に私が「大名の婚礼調度」を担当した際もやはりポスターには上田市博さん所蔵の貝桶を使用させていただいた。ま、桑名だしハマグリ(貝合わせの材料)はやっぱ外せませんよ(^-^;)
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[2014/02/23 23:27] | 未分類 | page top
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