三重県桑名市のある家にて
息子「おかーさーん、夏休みの宿題で桑名の歴史とか文化について調べないといけないんだけど、何について書こう?」 母「なにあんたまだそんな宿題残してたの?そういうのは早くやっておかないと。そしたらほら、8/5,6で開催してた石取祭について書いたらいいんじゃない?」 息子「石取祭、確かに楽しかったなぁ。でもみんな書きそうだから他ので書きたい」 母「他のってあんた…。そしたら桑名盆は? うちにもあるよ、蕪の絵が書いてある丸いお盆。桑名市の伝統工芸品にも指定されてるよ」 息子「桑名盆か、よく使ってるよね、いいかも。でもお母さんそのお盆のこといつもかぶら盆って言うよね?桑名盆とかぶら盆って一緒なの?」 母「桑名盆の中でも、特に蕪の絵が書かれたお盆をかぶら盆って言うのよ。最近は蕪の絵が描かれているものがほとんどだから、桑名盆=かぶら盆ってイメージが強いけどね」 息子「ふーん、じゃあ蕪じゃないのもあるんだ」 母「うん、桑名盆自体は中世頃から製作されていたと考えられるそうだよ。なんの飾り気もないものもあれば、草花とか鳥とか、流水模様とかが描かれた高級品もあったんだって。そういうお盆には赤、黄、緑、黒色の漆や、銀粉が使われたりして華やかだったのよ」 息子「そうなんだ、でもそんなの見たことないよ。お母さんは見たことあるの?」 母「桑名市博物館で7月19日から『かぶら盆?それだけじゃない 桑名盆』っていう桑名盆の展覧会が始まってて、そこで見てきたのよ」 息子「へえ、なんで蕪の絵ばっかりになったの?」 母「なんかね、江戸時代に松平定信さんが、画家の谷文晁に蕪の絵を描かせて将軍様に差し上げたことがきっかけって言われてて、お母さんもそうだと思っていたんだけど…」 息子「松平定信なら歴史の授業に出てきたよ!江戸時代に幕府で『寛政の改革』を行った人でしょ。“しっそけんやく”を推奨したって。谷文晁はお抱えの絵師だったんだよね?」 母「あんたよく知ってるね。そう、質素倹約ね。でも実はこの谷文晁云々の話は色々と混同されて伝わっているみたいで、桑名ではそれより前から蕪の絵が描かれていたそうなのよ」 息子「へえ、なんでそんなことが分かるの? そもそも定信さんが蕪の絵を描かせたって言われるのはなんで? 定信さんの好きな食べ物が蕪だったの?」 母「全部私に聞いてたら宿題の意味ないやん!『かぶら盆?それだけじゃない 桑名盆』展に行ったら解説パネルがあるから見ておいで。それから、花鳥が描かれた盆も見ごたえあるけど、かぶら盆も色々なバリエーションがあるから。桑名盆の特徴的な塗りの『イジイジ塗り』も実際に見られるし。」 息子「そうなんや。桑名盆の歴史や特徴が全部わかるんだね」 母「会期は8月27日(日)までだから、早めに行っておいで!」 息子「分かった分かった。行ってくるよ」 「かぶら盆?それだけじゃない 桑名盆」 休館日:毎週月、火曜日 開館時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで) 入館料:高校生以上150円、中学生以下無料 同時開催「刀剣セレクションⅡ—メイクデビュー桑名—」 刀剣展示解説 8月19日(土) いずれも午後1時30分から。 予約不要、入館料のみで参加可能。 白鞘南海(しらさや・みなみ/桑名市博物館) |
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