皆様こんにちは。桑名市博物館の井手迫です。
さて、桑名市博物館では現在開催中の「生誕200年 帆山花乃舎」展も、早いものであと10日で閉幕となります。私は同時開催の特集陳列「二人だけの世界―神内生一郎の肖像画」展を担当していますが、そちらも同じく会期はあとわずかとなっています。 神内生一郎(1895-1977)は商業デザイナーとして名を立てた人物ですが、今回は彼の肖像画にスポットを当てた展示となっております。一口に「肖像画」と言っても様々な作品が展示されており、小品ながら重厚で緻密に描かれたものから大判で色彩や光の表現が美しいものまで多彩な油彩画を始め、温かみのある水彩画やスケッチ、テクニックが光る鉛筆画など、二十数点の中に生一郎の持てる技術をぎゅっと詰め込んだような展示になっています。 一つ一つの作品をじっくり見るもよし、いくつかの作品を眺めてみるもよし、そして同時開催の花乃舎展と見比べて、日本画と洋画の味わいの違いを感じるもよしと、様々な見方ができる展示となっています。 また、出品作の大半は家族など、生一郎が身近な人々を描いた肖像画ですが、それらはただ彼らの姿を描いただけのものではなく、生一郎の大切な人々に対する想いが、目に見える形をとって現れたものでもあります。作品を通して、そうした生一郎の想いに触れていただくことができれば幸いです。 (井手迫蒼 いでさこ・あおい/桑名市博物館) ***** 博物館×中央図書館 令和5年度ML連携セミナー(第3弾)「肖像画、画家とモデル」を明日7月1日に開催します! <日程> 博物館×中央図書館 令和5年度ML連携企画 セミナー「肖像画、画家とモデル」 講師:桑名市博物館 井出迫蒼 日時:7月1日(土) 午後1時30分から午後3時 場所:くわなメディアライヴ 2階 資料代:200円 ※おつりのないようご用意ください 定員:30名(先着順、事前申込制)※定員になり次第締め切ります 申込み方法:直接窓口、または電話で中央図書館へ 申込み開始:6月22日(木)午前10時30分~ ※受付は各日午後5時まで 問い合わせ:桑名市立中央図書館 〒511-0068 桑名市中央町三丁目79 0594-22-0562 展示内容をより深く理解できるまたとないチャンスですのでぜひご参加ください。 スポンサーサイト
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春の企画展「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」には、多数の方々に来館いただきありがとうございました。引き続き7月8日(土)から9月18日(月・祝)の期間、第34回企画展・特別展「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」[1]を開催いたします。この企画展・特別展の内容やイベント紹介についてはWebページをご覧ください。
アニメーションの原理はヒトの視覚の残像効果を用いて、1秒間にテレビ放送だと30フレーム、映画では24フレームの静止画を切り替えることで、画像内の事物がなめらかに動いているように見せる仕組みです。わずか1分のアニメーションでも原画は1400枚以上必要で、作成にかかわる作業量は膨大なものとなります。最近ではデジタル技術を活用し、作成の効率化も図あれているようですが、高畑勲監督の遺作となった「かぐや姫物語」(2013年)では、デジタル技術を駆使して手書きの線を活かした水彩画風の描写方法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現上の革新を達成されています。このようなたゆまない技術革新の取り組みにより、高畑勲監督は、世界に誇る我が国のアニメーション文化の発展に大きく寄与されたと思います。 中高時代は勉強三昧でテレビや漫画雑誌、アニメとは無縁の時を過ごし、高畑勲監督が活躍した1970年代後半以降は既に社会人となっていた私にとってはアニメーションの世界はあまり馴染みのない世界ですが、それでも「アルプスの少女ハイジ」や「火垂るの墓」などは時々目にすることはありました。特に「アルプスの少女ハイジ」に出てくる犬のヨーゼフのまったりとした動きは印象に残っています。最近では、コミック→アニメ化→実写化の流れもあるようですが、やはりハイジ、ペーター、クララ、お爺さん、ヨーゼフなどはアニメの世界でこそ活き活きとした姿を見せているのではないでしょうか。 今回の特別展では「絵を描かない高畑の『演出』というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫ります。」(案内Webページからの引用)「1」。是非ともこの特別展に来場いただき、高畑勲の世界にどっぷりと浸かってください。お待ちしています。 (守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館) |
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