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【海博】竹内敏信 追悼写真展「日本の海 傑作選」
鳥羽市立海の博物館の平賀です。

今回は開催中の 竹内敏信 追悼写真展「日本の海 傑作選」を紹介させていただきます。 

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日本を代表する風景写真家として活躍し続けた竹内敏信さんは、2022年2月、78歳でお亡くなりになりました。

竹内敏信さんと海の博物館は、50年来のお付き合いです。1972年、当時竹内さんは汚染された伊勢湾沿岸を撮影した『汚染海域』を発表、1975年には写真集『SOS うみはいのち』を海の博物館から発行しました。そして海の博物館が全国に「海を守れ!」と呼びかけたSOS運動の機関誌『SOS』の表紙写真を提供し続けてくれたのが竹内さんです。

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竹内さんは『SOS NO.5』(1972年12月発行)の表紙に『伊勢湾からの報告 汚染海域』を掲載し<伊勢湾のドキュメントに取り組んで、約2年になる。山国で育った私にとっては、海は少年時代の夢や希望を満ちたたえた存在であった。しかし、この15年ぐらいの間に海の様相は一変した。赤と白のまんだらにぬりたくったコンビナートの巨大な煙突、褐色にうす汚れた海面と、帰化植物の群生する荒涼とした埋立地に立った時「海はだれのものだ!」とつい叫んでしまうのだ。>と、汚染海域の写真を撮り続けている思いを寄せてくれています。

その後、竹内さんは「破壊された風景で保護を訴えても意味がない」と思い始め、1979年頃から35ミリカメラによる風景写真を撮り始めます。1984年、キャノンカレンダー『天地聲聞』を発表した頃から日本屈指の風景写真家として認められ、第一人者として多くの作品を発表して続けてきました。

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今回の追悼写真展は、1992年7月、新しい海の博物館の開館にあたり、日本の美しい海を撮り続けていた竹内さん自ら傑作作品を選び贈ってくれて開催した写真展「日本の海 傑作選」を30年ぶりに紹介・展示したものです。竹内さんがとらえた「美しい日本の海」の写真24点がご覧いただけます。

期間は2023年3月31日まで。鳥羽市立海の博物館の入館料金でご覧いただけます。

(平賀大蔵 ひらが・だいぞう/鳥羽市立海の博物館)
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[2023/02/26 22:00] | 未分類 | page top
【松阪】原田二郎旧宅「紀州藩の歴史書『南紀徳川史』」の展示が始まりました (松阪歴史文化舎)
1原田玄関
松阪の同心町(殿町)にある原田旧宅は、武士で実業家になった原田二郎の生家です。今、紀州藩の歴史や職制、軍制などを記録した歴史書「南紀徳川史」の展示をしています。また、紀州藩の飛び地である松阪のゆかりの品を見ることができます。

2南紀徳川史展示
南紀徳川史は、徳川御三家である紀州藩主14代の253年間の記録です。170巻に及びます。藩主からの命を受けて堀内信が編纂しました。

3雛人形展示
「ちょっと昔のお雛さま」ということで冬季展示の他に特別展示をしています。旧長谷川治郎兵衛家や旧小津清左衛門家でも開催中です。

4紅梅と生家
原田二郎旧宅では、庭園の紅梅が咲き始めました。毎年この時期に満開になります。
よろしければ、一度お立ち寄りください。

(松本吉弘 まつもと・よしひろ/旧長谷川治郎兵衛家・旧小津清左衛門家・原田二郎旧宅)
[2023/02/22 22:00] | 未分類 | page top
【斎宮歴博】四季を通じて花々を楽しめる斎宮跡
今回は、寒がりの私がやっと昼休みの散歩を再開し、見た景色をお伝えしたいと思います。

1月の大雪で、斎宮でも雪が積もり通勤では怖い思いをしましたが、この地域では雪が積もるのも、年間で1回程度なので、もうこの冬は積もらないだろうと楽観(期待)しているところです。

真夏も嫌ですが、年々寒さが体にこたえるようになってきました。
最近、昼休みの睡眠確保を理由に、散歩をさぼっていたのですが、2月に入り少し暖かい日もあったので散歩を再開しました。

まだまだ寒さも厳しく、春の訪れを感じる季節とは言えませんが、ところどころに春を感じる色合いを見つけることができました。

博物館の裏手にある梅林では、紅梅と白梅合わせて100本ほどが植えられておりますが、紅梅は咲いておりました。白梅については咲き始めたばかりでしたが、2月の下旬頃には両方の花が楽しめそうです。

①紅梅
紅梅

②白梅
白梅

斎宮跡では一年を通して、紅梅、白梅、桜、あやめ、ハナショウブ、あじさい、ひまわり、コスモス、イチョウ、モミジ、菜の花・・・・・
と華やかな春季から、透き通ったすがすがしい冬季まで、四季の移り変わりを感じることができる花々が楽しめます。

また、博物館では、3月26日(日)から春季企画展「花愛ずる人びと~歌と宴と~」の開催を予定しております。
平安時代に斎宮を彩った花とともに、いにしえより続く花を愛でる文化を紹介します。

斎宮にまつわる花についても紹介しますので、身近に咲く花々に興味を抱く機会になればと思っています。
こちらもよろしくお願いします。

(大西宏明 おおにし・ひろあき/斎宮歴史博物館)
[2023/02/19 22:00] | 未分類 | page top
【三重県博】ウサギ、rabbit、hare
 今年は卯年(癸卯:みずのとう)、昨年12月17日から本年1月22日まで三重県総合博物館では「三重の実物図鑑 2023年新春展示 三重のウサギたち」を開催し、ウサギに関連したさまざまな収蔵品を展示しました。ウサギは「学校飼育動物」として以前は多くの小学校などで飼育されていたので、実際にウサギに触れた方も多かったと思います。残念ながら、最近はさまざまな事情から学校でのウサギの飼育が行われなくなり、ウサギに触れる機会が少なくってきました。それでも、ピーターラビットを始めとしてさまざまなウサギが絵本やアニメに登場しているので、子供たちにとっては馴染みのある動物だと思います。

 さて、表題のhareとrabbitですが、ウサギは大きく分けてアナウサギ(rabbit)とノウサギ(rabbit)に分かれています。アナウサギはもともと毛皮や肉をとるためにノウサギから家畜化されたもので、その後ペットとして多く飼育されるようになりました。蛇足ながら、最近ではペットを伴侶動物(companion animal:コンパニオンアニマル)として捉える流れが出てきています。一方、ノウサギは野生種であり主に草原や森林、農耕地などで単独で生息しています。先の「三重の実物図鑑」でもニホンノウサギ(hare)の剥製標本の展示を行いました。

 私たちがイメージする毛色が白で目が赤いウサギはアナウサギのアルビノ(白化個体)を品種として固定したもの(日本白色種:Japanese White rabbit)です。そこで一つ疑問が出てきました。「因幡の白兎」はhare or rabbit? 鳥取には白兎海岸や白兎神社があり「因幡の白兎」は白色のウサギだと思いますが、そうであればノウサギ(hare)のアルビノだったのでしょうか?野生の状態でアルビノだと捕食者に狙われやすいので生存は極めて困難なのですが…。もっとも昔から、アルビノの個体(白馬、白蛇など)は神聖なものとして扱われていたのでノウサギのアルビノの可能性も考えられるとは思いますが。どなたか「因幡の白兎」がノウサギのアルビノかどうかご存じないですか?

 ちなみに、私の出身地岩国ではアオダイショウのアルビノである白蛇(シロヘビ)が天然記念物の指定を受けており、市内の繁殖育成施設やシロヘビ観覧所で観覧することができます。岩国のシロヘビはヒトの飼育下ではなく自然状態で出現している極めて珍しいものです。さらにシロヘビは家に住み着けば吉兆をもたらし、財布に抜け殻を入れておけば金運が舞い込むと言い伝えられています。岩国に行く機会があれば錦帯橋の他、是非ともシロヘビもご覧ください。「獺祭」や「雁木」などの地酒もあります。

(守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館)
[2023/02/05 22:00] | 未分類 | page top
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