今年は卯年(癸卯:みずのとう)、昨年12月17日から本年1月22日まで三重県総合博物館では「三重の実物図鑑 2023年新春展示 三重のウサギたち」を開催し、ウサギに関連したさまざまな収蔵品を展示しました。ウサギは「学校飼育動物」として以前は多くの小学校などで飼育されていたので、実際にウサギに触れた方も多かったと思います。残念ながら、最近はさまざまな事情から学校でのウサギの飼育が行われなくなり、ウサギに触れる機会が少なくってきました。それでも、ピーターラビットを始めとしてさまざまなウサギが絵本やアニメに登場しているので、子供たちにとっては馴染みのある動物だと思います。
さて、表題のhareとrabbitですが、ウサギは大きく分けてアナウサギ(rabbit)とノウサギ(rabbit)に分かれています。アナウサギはもともと毛皮や肉をとるためにノウサギから家畜化されたもので、その後ペットとして多く飼育されるようになりました。蛇足ながら、最近ではペットを伴侶動物(companion animal:コンパニオンアニマル)として捉える流れが出てきています。一方、ノウサギは野生種であり主に草原や森林、農耕地などで単独で生息しています。先の「三重の実物図鑑」でもニホンノウサギ(hare)の剥製標本の展示を行いました。 私たちがイメージする毛色が白で目が赤いウサギはアナウサギのアルビノ(白化個体)を品種として固定したもの(日本白色種:Japanese White rabbit)です。そこで一つ疑問が出てきました。「因幡の白兎」はhare or rabbit? 鳥取には白兎海岸や白兎神社があり「因幡の白兎」は白色のウサギだと思いますが、そうであればノウサギ(hare)のアルビノだったのでしょうか?野生の状態でアルビノだと捕食者に狙われやすいので生存は極めて困難なのですが…。もっとも昔から、アルビノの個体(白馬、白蛇など)は神聖なものとして扱われていたのでノウサギのアルビノの可能性も考えられるとは思いますが。どなたか「因幡の白兎」がノウサギのアルビノかどうかご存じないですか? ちなみに、私の出身地岩国ではアオダイショウのアルビノである白蛇(シロヘビ)が天然記念物の指定を受けており、市内の繁殖育成施設やシロヘビ観覧所で観覧することができます。岩国のシロヘビはヒトの飼育下ではなく自然状態で出現している極めて珍しいものです。さらにシロヘビは家に住み着けば吉兆をもたらし、財布に抜け殻を入れておけば金運が舞い込むと言い伝えられています。岩国に行く機会があれば錦帯橋の他、是非ともシロヘビもご覧ください。「獺祭」や「雁木」などの地酒もあります。 (守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館) |
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