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【海博】企画展「あれも舟?これも舟?」
鳥羽市立海の博物館の平賀です。

今回は、12月31日から開催する企画展「あれも舟?これも舟?」を紹介させていただきます。

人間は、水の上に出るため「舟」を創り出して、まだ見ぬ土地に渡り、物を運び、目の前に広がる豊饒の海や湖などに出て食料を得てきました。「舟」の発明は、世界のいたるところで必然的に生じてきたようで、世界中に広がる「舟」の歴史のなかでは、わたしたちが予想もしない形状、材質、用途によって生みだされた「舟」が数多くあります。

 この企画展では、海の博物館に収蔵されている「舟」の実物展示のほか、世界各地で使用されていた一般的な舟のイメージとは異なる「奇舟」を写真や絵図で紹介します。

展示する実物の舟は

トエントン
・トエントン:ベトナム南部の沿岸でイカ漁や輸送に使われている竹で編んだザル型の舟。ザルの目をヤシ油と牛ふんを混ぜたもので目張りして、水が漏れないように作ってあります。

タタラ
・タタラ:台湾南部の離島、ランユイ島の原住民がトビウオ漁などに使用した舟。色鮮やかな文様と装飾に彩られた舟で、彫り込まれた文様と装飾にはそれぞれ意味があります。

ハンギリ 
・ハンギリ:新潟県佐渡島で女性が春のワカメ捕りなどの磯漁に使用した舟。杉板を竹のタガで締めあげて作った2人が乗れる大きなタライ(ハンギリ)が舟として使われています。

・オシイタ:一見するとただの板に見えるが、前方が少し反り上がっています。有明海の干潟でム
ツゴロウ漁(ムツカケ漁)に出るときに使用します。

この他に実物・復元した豚皮の舟などを展示するとともに壁面では国内外の「奇舟」を写真や絵図のパネルで紹介します。
交通、運搬、漁獲など、人間が海(多くの場合)と密接に、かつ伝統的にかかわってきた歴史、また同時に各舟の特性や材質などを通じて、国内外の各地に根差した漁撈習俗や習慣に接しながら、海や舟を身近に感じていただけるように企画しました。
開催日時:2022年12月31日(土)~2023年4月9日(日) 9時~16時
場所:鳥羽市立海の博物館 特別展示室  料金:海の博物館の入館料でご覧いただけます。

(平賀大蔵 ひらが・だいぞう/鳥羽市立海の博物館)
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[2022/12/25 22:00] | 未分類 | page top
【松阪】旧長谷川治郎兵衛家で詩吟コンサートとナイトツアーを行いました(松阪歴史文化舎)
(写真1 詩吟)
写真1(詩吟)

旧長谷川家で「紅葉と秋月を観ながら詩吟を聴く集い」を持ちました。詩吟詠 田島麟芳先生 琴演奏 磯輪雅楽之先生にお世話になりました。
 「海南、気暖にして秋を知らず、一路わずかに西すれば・・・・」江戸後期の詩人染川星厳(せいがん)が伊勢の国を訪れた時の七言絶句を始めに吟じてもらいました。

(写真2詩吟)
写真2(詩吟)

午後5時30分からの夜の開演でした。最後は、寒山寺の拓本でも有名な唐代の詩人、張継による七言絶句「楓橋夜泊」。「月落ち烏鳴き霜天に満つ、江風漁火愁眠に対す、姑蘇城外の寒山寺・・・」
晩秋を彩る紅葉は、色鮮やかで梅花より紅く燃え、黄金よりも眩しく輝く良い季節です。

12月初旬は、他に旧長谷川治郎兵衛家で「旧家で楽しむ秋の夜長のナイトツアー」をもちました。(時間は、17:30~19:00でした。)

(写真3ナイトツアー)
写真3(ナイトツアー)

竹灯りとライトアップした紅葉を観ながらの夜の博物館見学です。大正ガラスに反射した灯りも情緒豊かな雰囲気を演出してくれました。

(写真4ナイトツアー)
写真4(ナイトツアー)

学芸員からのちょっぴりお得な特別の説明など、普段あがれない2階からの眺めを楽しんでもらいました。

松阪歴史文化舎のホームページは、こちらです。

(松本吉弘 まつもと・よしひろ/旧長谷川治郎兵衛家)
[2022/12/21 22:00] | 未分類 | page top
【鳥羽水】鳥羽水族館クリスマスイベント
デンキウナギのビリビリツリー!クリスマス

ジングルベルの音が聞こえてきましたね。
早いものでもう12月、2022年もあとわずかとなりました。
12月の行事と言えば? そう、もちろんクリスマスでしょう!!!
と言うことで、今回は鳥羽水族館のクリスマスイベントをご紹介したいと思います。

タイトル名は「デンキウナギのビリビリツリー!クリスマス」。
開催期間:12月3日(土)~12月25日(日)、場所:Fゾーン「ジャングルワールド」、「人魚の海」となっています。

内容としては、タイトルにもあるように水族館で飼育している「デンキウナギ」達が、なんとクリスマスツリーの電球を点灯してくれているのです。

鳥羽水族館 ビリビリツリー

ちなみにデンキウナギは、南米のアマゾン川、オリノコ川の水系に分布する魚です。名前のとおり体内の発電器官を使って電気を発生させ、餌となる小魚を痺れさせて捕食したり、敵に襲われたときなど、相手を撃退するために電気を使用すると言われています。発生する電圧は、高い時で800Vにもなと言うちょっと危険な生物です。
 
現在水族館の水槽には、5尾のデンキウナギ達が入っているのですが、餌や敵がいなくても動いている時は、割と頻繁に弱い電流を流しているようで、ビリビリツリーが時々明るく点灯しているのがうかがえます。
 
鳥羽水族館ではこのほかにも、24日のクリスマスイブと25日の当日に、ジュゴンとアフリカマナティーの水槽にサンタダイバーが登場します。サンタの衣装をまとったダイバーが、大好物の餌をジュゴンやアフリカマナティーにプレゼントする予定です。

鳥羽水族館 ジュゴン水槽のサンタダイバー

体重が400㎏~800㎏にもなる彼らにプレゼントするサンタダイバーの悪戦苦闘ぶりをお楽しみください!

(若井嘉人 わかい・よしひと/鳥羽水族館)
[2022/12/18 22:00] | 未分類 | page top
【桑名市博】ミュージアムとデジタルアーカイブ 東海三県博物館交流集会参加記
12月7日(水)、セラミックパークMINOにて開催された、第46回東海三県博物館協会研究交流会に参加してきました!

20221213_三重県博物館協会ブログ 写真①
会場のセラミックパークMINOです。アプローチの立派な橋や展望台(軽い登山でした…)もあるすばらしい施設です!

さて今回のテーマは

「博物館資源のデジタルデータベース化の現状と今後」

で、ミュージアムにおける資料の管理・活用について真剣で熱い議論が交わされました。

20221213_三重県博物館協会ブログ 写真②

金山喜昭さん(法政大学キャリアデザイン学部教授 )によるご講演では、各館の理念に沿った資料管理のルールを館と行政との間で明確に位置付けるべきではないかとの問題提起があり、また、資料を収集・保管する一方で適切な処理(移譲、研究資料としての活用などを含む)をする必要があるとのお話がありました。

資料はミュージアムの根幹となるものであり、豊富なコレクションは展示や教育活動をはじめとした館の活動を豊かにしてくれるものです。一方で、収蔵庫には限りがあるため、収集のみ続けることは不可能です。時に一部の資料は処分せざるを得なくなるのですが、何を残すのか、その基準は何か、各館の事情も含めて今後向き合っていかねばならない課題の一つです。

続いて今回のテーマについて 可児光生さん(美濃加茂市民ミュージアム館長)、副田一穂さん(愛知県美術館主任学芸員 )、 守屋和幸さん(三重県総合博物館館長)から、各県の事例報告がありました。またその後のディスカッションでは、デジタルアーカイブに優先して残すものは何か、との話題にもなりました。

今年(2022年)の博物館法の改正によって明文化されたこともあり、近年デジタルアーカイブ等での資料公開が進みつつあります。三館それぞれの理念や公開方法を伺い、館の役割に合わせて資料の活用を図ることの重要性を再認識いたしました。

20221213_三重県博物館協会ブログ 写真③

博物館法の改正にともない、ミュージアムには新たな役割が求められていくこととなります。

私たちの世代において、ミュージアムのすべきこととは何か、今後も問われ続けることであろうと思います。
そのなかで学芸員としてできることを考えながら、自己研鑽に努めてゆくつもりです。
刺激的な交流会をありがとうございました!

また、名刺交換させていただいた皆様方、ぜひ桑名市博物館へお越しください。

追伸
岐阜県陶芸美術館では1月29日まで「愛のヴィクトリアン・ジュエリー 華麗なる英国のライフスタイル」を開催中です。
素敵な展覧会ですのでぜひ皆様ご来館ください!

(塩田 奈実 しおだ・なみ/桑名市博物館)
[2022/12/14 22:00] | 未分類 | page top
【斎宮歴博】発掘調査を続けて50年
 今回は、50年以上に渡り中断することなく続けてきた発掘調査についてご紹介させていただきます。
私は斎宮の近くに住んでいながら、子供の頃、「斎宮跡」「斎王」と言うのは聞いたことがありませんでした。勿論、教科書にも載っていませんでした。

斎宮跡は、大阪万博が開催された昭和45年(1970)、高度経済成長期における住宅団地の開発に伴う事前の発掘調査によって、蹄(てい)脚(きゃく)硯(けん)という大型の硯の破片が見つかったことなどにより、長らく存在は知られながらも「幻の宮」とされていた斎宮の実在が確認されました。
① (1)
(写真① 蹄脚硯)

その後調査を経て、発掘により蘇った斎宮は、それまで想像されてきた規模をはるかに超える壮大なもので、東西2㎞、南北700m、約137haが昭和54年(1979)に国史跡斎宮跡として指定されました。
平成元年の斎宮歴史博物館の開館を機に、斎宮跡調査事務所から斎宮解明のバトンが渡され、当館において発掘調査を続けています。
これまでの50年間あまりの調査によって、斎宮の最盛期である平安時代には碁盤目状の区画で構成される大規模な方格街区(地割)が存在したことなど、国家祭祀の拠点としての重要な役割を担った斎宮の実像が明らかになってきました。

②
(写真② 史跡斎宮跡(橙色が史跡の範囲、黄色が方格街区))

また、近年の史跡西部における発掘調査においては、飛鳥・奈良時代の成立期の斎宮の様子も次第に明らかになり、今年度は第203次調査として奈良時代の区画の東西規模、内部構造の解明を目的とした調査を実施しております。 
昨年度までの飛鳥時代の発掘調査と併せ、初期斎宮の実態解明が期待されているところです。

③
(写真③ 昨年度の200次調査現場(飛鳥時代))

発掘調査の結果は、2月頃に現地説明会を行いますので、どうぞご期待ください。

(大西宏明 おおにし・ひろあき/斎宮歴史博物館)
[2022/12/12 22:00] | 未分類 | page top
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