今年も残すところ後わずかとなりましたが、三重県総合博物館(MieMu)では来年の干支(寅)にちなんで、令和3年12月18日(土)から令和4年1月23日(土)まで、三重の実物図鑑「三重のトラたち」の展示を行います。トラにちなんだ色々な館蔵品を展示しますので、是非お越しください。
今回は牛肉に関する話題を少し紹介いたします。日本を代表する黒毛和種(クロゲワシュ)の牛肉は海外でもWagyu Beefとして広く知られるようになってきました。 赤肉の中に白い脂肪が細かく十分に入った牛肉は霜降り肉とよばれ、見た目にも美しく高級和牛肉として高い評価を得ています。昨今、地域の名前などを冠した銘柄牛と呼ばれる牛肉が流通しています[1]。三重県産の松阪牛、伊賀牛や、その他、前沢牛、米沢牛、飛騨牛、神戸ビーフ、佐賀牛、宮崎牛などの銘柄牛が全国的に知られています。これらの銘柄牛については、産地、血統、育て方(肥育方法)、肥育場所などに独自の基準を設けて、その基準を満たすものだけを銘柄牛として認定しています。松阪牛に関しては松坂牛協議会[2]の基準を満たす牛肉だけが松阪牛と呼ばれているわけです。 さて、松阪牛はなんと読むのでしょうか? 生きているウシはウシと呼び、牛肉になるとギュウと呼ぶのが一般的です。 Web検索で松阪牛について調べてみると、“マツサカウシと読むのが正しい読み方で、マスコミ等では2008年頃から「マツサカウシ」と読むことになった”という記載を多くに目にしました。確認のため松坂牛協議会[2]のWebページで調べると“「マツサカウシ」、「マツサカギュウ」いずれも誤りでなくこの2つの読み方で商標登録も行っている。マツザカウシ(ギュウ)のように濁音で読むのは誤り、また松坂牛と表記するのも誤り”と記載されていました。 ちなみに、2003年(平成15年)12月1日に「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(「牛トレサ法」)が施行され、それ以降国内に存在するすべてのウシには個体識別番号が付与され(人のマイナンバー制度よりもずっと以前から始まっているわけです)、流通する牛肉にも必ず個体識別番号を表示することが義務付けられました(輸入肉は対象外です)。 生存しているウシには両耳に個体識別番号が印字された黄色の耳標が装着されています(動物園で飼育されているウシにも装着されています。京都の葵祭で牛車を曳いているウシにももちろん装着されています)。 スーパーなどで牛肉を購入した際にも国内産の牛肉であれば必ずパッケージなどに10桁の個体識別番号が記載されています。この番号を(独)家畜改良センターのWebページ「牛個体識別情報検索サービス」[3]に入力すると購入したウシの履歴が表示されます。なお、松坂牛については個体識別番号に対応した独自の識別番号が表示されており、この番号を松坂牛協議会のWebページ「松阪牛個体識別番号検索」に入力することで購入した松坂牛の履歴を入手することができます。一度検索してみてはいかがですか。牛に関する話題は尽きませんが、今回はこのあたりで筆を止めます。 良いお年をお迎えください。 (守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館) 参照URL [1] 全国のブランド牛(銘柄牛)一覧 [2] 松阪牛協議会 [3] 牛の個体識別情報検索サービス [4] 松阪牛個体識別番号検索 ----- 話題がギュウギュウ詰めでした。なんだかモウお肉を食べたくなりますね。 |
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