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【四日市博】虹の色
私は自宅のある名古屋市から四日市の博物館まで電車通勤している。

先日の朝、出発後まもなく、西の空に浮かぶ雲に大きく虹が架かるのを車窓に見た。何の根拠もないのに、何故か良いことがありそうで嬉しかった。

ところで、虹は何色だと思います? 「7色に決まってるじゃん」と言われそうだけど、古代の日本では 5色と言われ、沖縄地域では 2色とさえ言われていたらしい。江戸末期までの文献にも 7色との記載は無く、少ないけど近世までの「虹の絵画」にも 7色で表現されたものは心当たりがない。どうやら近・現代に 7色となったらしい。

葛飾北斎
①葛飾北斎《ぎやうとくしほはまゟのぼとのひかたをのぞむ》 名古屋市博物館蔵

さらに初めて虹の色が 7色と言い出したのは、あの万有引力で知られるニュートンと言われ、何故 7色かは音階(ド~シの 1 オクターブ)と結びつけられたから、と伝わる。それが日本近代の学校教育の中で普及していったとのこと。思わず「本当?」って私も言いたくなるけど、実に面白い話だと思いませんか。

ちなみに世界中で虹の色を 7色と伝えるのは、日本の他、韓国とオランダのみ。アメリカ、イギリス(6色)・フランス、ドイツ、中国、メキシコ(5色)・東南アジア諸国(4色)・他 8色や 3色、 2色の地域・部族などもあり、世界の文化・歴史によって異なる認識は、文化の多様性と、常識として決めつけた考え方の危険性に、改めて気づかせてくれる。

歌川広重
②歌川広重《名所江戸百景 高輪うしまち》

「虹」の漢字は何で「虫偏」なの? についても興味ある方は調べてみてください。面白いですよ。

結局、私はその日、宝くじを買って帰った。結果は・・・内緒。

(吉田俊英 よしだ・としひで/四日市市立博物館)
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虹は七色は非常識、ということなんですね、知りませんでした…。宝くじ、当たるといいですね!
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[2021/11/28 22:00] | 未分類 | page top
【三重県博】「寺院に伝わる戦国の残像~北畠氏のいた時代~」
現在三重県総合博物館では、第29回企画展「寺院に伝わる戦国の残像~北畠氏のいた時代~」を今月27日(土)まで開催中です。

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戦国時代の伊勢国における最大の勢力が、伊勢国司北畠氏でした。北畠氏が活躍した時代の様子を伝える数々の資料が、三重県内の寺院には多数遺されています。また、今回の展示では当時の寺院自体の様子も伝えられるようにしていますが、そのキーワードの一つが「真盛(しんせい)」という人物です。

伊勢国に生まれ、京を中心に活躍し、伊賀国に没した天台真盛宗の祖真盛は、戦国時代の幕府や朝廷にもその名を知られた人物でした。その真盛が常に身近に置いていた仏像が、現在、津市成願寺(じょうがんじ)に伝わる重要文化財の阿弥陀如来倚像(いぞう)です。本展のポスターやチラシのメインビジュアルの一つでもあります。

両手を胸前に掲げて説法印を結び、雲上の蓮華座に倚坐して像背に雲をたなびかせた来迎の姿につくるという大変珍しい姿をしています。構造は寄木造で、玉眼を嵌入しており、表面には漆箔が施されています(現状は経年により黒色です)。

ふくよかな顔立ちの小像ですが、各部の造形はしっかりとしており仕上げも丁寧です。台座框裏側に文明十九年(一四八七)の修理銘がありますが、真盛が在世中であり最晩年に当たります。あるいは、本人の依頼によって後補の両手や厨子を含めて来迎形としたのはこの時のことかとも考えられます。

この仏像は、真盛の遺言により朝廷に持ち込まれ披露されたのち、返還されて現在に至るもので、真盛が朝廷や幕府の人びとに人気のあったことを裏付ける、重要な資料ともいえるものですが、本像は普段あまり公開されることはなく、この機会をぜひお勧めいたしたく、お越しくださいますようお願いいたします。

(瀧川和也 たきがわ・かずや/三重県総合博物館)
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内容がてんこ盛りの展覧会、ぜひお見逃しなく!
[2021/11/21 22:00] | 未分類 | page top
【多気郷土資料館】原点回帰で所蔵資料整理に集中!
はじめまして。多気郷土資料館学芸員の村田と申します。

当館ではこれまで常時在館の職員2名で年4回、テーマを決めて企画展を行ってきました。

一方で、その準備等に追われ、受け入れた資料の整理が追い付かない状態が何年も続いていました。

資料が死蔵状態に陥っている状況を何とか打開すべく、今年度から秋の企画展を1回休み(展示室以外の作業場所がないため)、資料整理に集中する期間を設けることになりました。

展示中心で回っていた館の活動を大きく転換させたのは、昨年、NHK大阪からの問い合わせでした。戦時中に活動した国防婦人会の機関紙を探しているが、それが当町以外には見当たらないとのことでした。調べたところ、旧佐奈村(今の多気町佐奈地区)役場の文書群の中に含まれていることがわかりました。

旧佐奈村役場文書保管現状

当館とは別の倉庫で未整理のまま眠っていた4万点近くにのぼる同文書の山からようやく該当の資料を数点探し出しました。その資料は残念ながらテレビ放送では紹介されなかったものの、全国的にも極めて貴重な資料が当町に残っているという事実をあらためて認識できたのは大きな収穫でした。

当町では終戦時や町村合併の際にほとんどの行政文書が破棄された中、旧佐奈村役場文書だけは地元の方の尽力でほぼまとまった形で残されました。同文書は明治から昭和20年代頃までの行政文書です。しかし、それらは保管場所も転々とし、地元の方々からの整理保存の要請に応えられないまま放置され、40年近くが経過しました。

整理中の旧佐奈村役場文書

昨年、整理保存に向けて動きだした時、同文書の保存活動の中心になった方から郷土資料館の本来の役割は郷土の資料を大切に保存することで、展示は二次的なものではないかというご指摘を受けました。

確かにそうだと思いました。今までは、資料館の展示は所蔵資料があるからこそ可能だという当たり前のことを忘れ、見栄えのよい資料を並べ、より多くの来館者に見てもらうための展示にとらわれていました。

当館は常設展がなく、これを目当てに各地から来館するというような目玉的な資料もありませんが、地元の資料は当町の歴史を伝える、ここにしかない「宝」です。

この宝を大切に保存し、有効に活用していくことが「郷土資料館」の果たすべき重大な使命であることに思い至ったのです。

つい力が入って熱く語ってしまい、失礼しました。要するに「原点に帰ろう!」となったわけです。

ということで、10月下旬から多気町郷土史研究会の方々にボランティアで協力していただき、旧佐奈村役場文書の整理作業に取り組んでいます。旧佐奈村役場文書の他にも、整理を待つ資料がまだまだ控えています。資料整理に終わりはありません。

「郷土資料館」としてのあるべき姿を目指してやっと一歩踏み出せたと思っています。

(村田麻美 むらた まみ/多気郷土資料館)
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資料整理に終わりはないですよね(全力同意)
[2021/11/17 22:00] | 未分類 | page top
【朝日歴博】令和3年度企画展「橘守部-国学研究と門人たち-」
朝日町歴史博物館の片山です。

ブログの当番を知ったのが11月10日(水)。

掲載期日が迫るが書くことが思い浮かばない。

思い浮かんだのはあるのですが、昨日開催された三重県博物館協会理事会の中でこのブログに館の紹介をしないとの話があったので心苦しい。

でも、紹介させてください。

令和3年度企画展「橘守部-国学研究と門人たち-」を12月12日(日)まで開催しています。

【圧縮版】令和3年度企画展B2ポスター 橘守部

企画展のテーマである「橘守部」は、天明元年(1781)に朝日町小向(おぶけ)に生まれた国学者です。

「国学」と言うと、同じ三重県出身の「本居宣長」が全国的に有名です。

守部は、若くして関東に移り住み、ほとんど独学で国学の研究を進めました。

その業績は高く評価され、平田篤胤、伴信友、香川景樹とともに「天保の国学四大人」に数えられるまでになりました。

その研究には桐生、足利地域(現在の群馬県桐生市、栃木県足利市)を中心とする多くの門人たちの支援がありました。

本展示会では、守部の国学研究とともに門人たちとの交流について、その一端を紹介するとともに、三重県初公開資料を含めた橘守部自筆の著作原稿や手紙(書簡)などを展示しますので、ご来館いただければ幸いです。

先日、桑名市博物館の特別展を拝見させていただきました。

個人的に見たかった資料が多数展示されており、素人でも楽しめる素晴らしい展示会でした。

また、桑名市博物館の前にある人気のラーメン屋さんも美味しかったです。

午前に当館の企画展を観覧していただき、ラーメン屋をはさんで、午後に桑名市博物館を観覧していただければ、充実した一日が過ごせるのでは…。

(片山 裕之 かたやま ひろゆき/朝日町歴史博物館)
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うちの宣伝もありがとうございます(笑) ぜひ朝日と桑名をはしごしてください。あ、ラーメンも忘れずに。貴館近くのイーグルもおいしいですね。
[2021/11/14 22:00] | 未分類 | page top
【前期展示は】本多忠勝と桑名@桑名市博物館【明日まで】
こんばんは。ご無沙汰しております、桑名市博物館元職員のK.Mです。

当館で絶賛開催中の特別展・本多忠勝と桑名、前期展示もいよいよ明日まで。名物 桑名江の里帰り展示と刀剣男士桑名江の等身大パネルも残り1日となりました。

「するならもっと早よう!」とツッコミが入りそうですが、当館の展覧会の宣伝にまいりました。
前期展示は明日までですが、展覧会自体は11月28日(日)まで開催していますので。後期展示もどうぞよしなに。

本展覧会には中務正宗、黒糸威胴丸具足を含め、合計64件(展示替え含む)が出品されています。

国宝、重文など展覧会のポイントとして挙げられるアレコレももちろんなのですが、個人的にはあまり取り上げられていない気がする、新出史料の文書辺りを地味に推していきたいです。学生の頃、近現代文学の場合、死後10年くらい経っている作家だと資料が大体出尽くしていて研究しやすい(卒論を書いている最中に新出資料が出て、論をひっくり返される虞が少ない)、というような話を聞いたことがありましたが……400年くらい経っていても出てくる時は出てくる。ちょっとしたロマンですね!

あと、野太刀鐔。透かし彫りにされている文字の意味が気になります。今の翻刻と違うように読めないかとか、逆さ歌的な? などと考えながら、行く度にケースの周囲をぐるぐる回っています。謎はまったく解けていません。うーむ、分からん。

関ヶ原合戦図屏風(右隻)と名物 桑名江、太刀 銘 包永の展示は明日まで。後期には違う作品資料に替わりますので、ご覧になりたい方はお気をつけくださいね。

また、本展覧会の図録(1000円)、刀剣乱舞の2022年のカレンダー、忠勝公モチーフのグッズ(現在在庫切れ多数の模様)、くはないなちゃんのグッズなども絶賛発売中です。ご来館の記念(?)に、いかがでしょうか。

先ほどポツポツと雨が降ってまいりました。桑名江の里帰り展示が終わることを惜しむ方達の遣らずの雨ですかね。

明日は晴れ予報。笑顔でバイバイできますように。
[2021/11/06 23:30] | 未分類 | page top
【宣長記念館】秋の特別展 伊勢人宣長
本居宣長記念館の井田です。

小中学生の社会見学や修学旅行での来館が増えるこの時期、たまに「のぶなが?」と言われ、織田信長に負けたような気がして切なくなったり悔しくなったりしています。

本日は当館で12月26日(日)まで開催の「秋の特別展 伊勢人宣長(いせびと のりなが)」の宣伝にやって参りました。

本居宣長は松阪出身の国学者です。

10月中旬のブログで、松阪市立歴史民俗資料館の川口館長が紹介された3人の本草学者たちとも少しずつ重なる、江戸中期~後期に活動しました。

宣長の代表作といえば、言わずと知れた『古事記』の注釈書『古事記伝』ですが、“内容を読んだことがある”人口が多いのは、むしろ随筆集『玉勝間(たまがつま)』の方かもしれません。

宣長の思想や内面をうかがい知ることができる文章として、また読み物としても人気が高く、版本にして全14巻(1005項目)の中からピックアップして現代語訳したもの、昭和の頃には古典文法の解説書の題材にしたものもありました(『玉勝間』の品詞分解!)。現在でも、高校の古典の教科書などで取り上げられています。

今回の展示では、その中の「伊勢国」という文章をひとつの目玉に据えています。

『玉勝間』草稿01
『玉勝間』草稿

いわゆるお国自慢ともいえるのですが、伊勢国は他国と比べても暑さ寒さが厳しくない(でも風は強い)こと、農作物・海産物が豊富に採れること、言葉の訛りはあまり強くないことなど、今の私たちでもうんうんと頷きたくなる内容から、年中伊勢参宮の人々で賑わうこと、中でも、江戸店持ちの商人が多い松阪では商家の主人が豊かな暮らしをしていることなど、当時の様子を伝えてくれています。

今回の展示では、この文章の状況を少しでも視覚的に、具体的に感じていただけるよう、伊勢参宮に関わる資料から、伊勢国内の人々とやりとりした手紙、地元での行楽の記録など幅広い資料を並べました。

ちなみに「伊勢国」、ワープロソフトで文字数をカウントしてみると1142字でした。

分量的にはこのブログとほぼ同じくらいといったところでしょうか。

1000字程度で地元のことを書いてくださいと言われたら(尤も、宣長は依頼を受けたわけではありませんが)自分ならどんなことを書くだろう、何が書けるだろうとぼんやり考えつつ、今度来館者の方にも尋ねてみようと機会をうかがっています。

本展はほぼ年内いっぱい、12月26日(日)までの開催となっております。(次回冬の企画展は、年内は12月28日(火)の1日のみ。残りの会期は年明けに続きます。)

また、年が明けた令和4年(2022年)には、松阪を代表する商人・三井高利が生誕400年を迎えます。今後も松阪の動向をお見逃しなく!

(井田もも いだ・もも/本居宣長記念館)
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宣長の先祖は北畠氏なんで、先祖も織田信長にやられており切なくなったり悔しくなったりしますね・・・。
しかし宣長先生には素敵な随筆集がございます。前回紹介した商人の建物とあわせてぶらり松阪探訪を楽しんでみるのも良い秋の日の過ごし方ではないでしょうか。
[2021/11/03 22:00] | 未分類 | page top
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