夏休みが来てしまった!もしかしたら、多くの親御さんはそう感じているかも知れない。
そう!皆さんが毎年恐怖する、
「自由研究」問題である。
この自由研究、大人でも苦手な人は多いようで、本居宣長記念館へ来られた方は、首をひねったり眉間のしわが濃くなったりしている。
なっとしたら、ええんや~確かに、「自由」といきなり言われると、なかなか難しいなぁ、とも思う。
大人でさえ分からないのだから、知識も経験も少ない子どもだけでいきなり「自由」といわれても、持て余すのは当然。
これはきっと、
大人と子どもで協力して学ぶための宿題なのね、と勝手に納得している。
最近は、「自由研究」とインターネットで検索するだけで、学研、ベネッセ、サントリーとお馴染みの会社の学習サイトから、まとめサイトまでたくさん。

(写真:GakkenキッズネットHP 夏休み!自由研究プロジェクト|学研キッズネット (gakken.co.jp))
毎年、夏休みに入った頃に放送されるNHKの「自由研究55」も、実は大好きだ。
こういったものは自然科学や生物系の自由研究も多く、見ていて非常にワクワクする。
正直、よだれが出るほど羨ましい!
なぜなら、歴史人文系博物館は、文字だらけだからである!

(『古言指南(こげんしなん)』稿本 本居宣長筆)
どれほど分かりやすく解説を書こうと心がけても、やはり文字史料を文字で説明することになるので、
もじもじになってしまう。しかも、文字に対する抵抗感というものがあり、一定以上の文字量になると、人は読まなくなってしまう。まさに、二重苦。
けれど、(学生のころはそこまで熱心ではなかったはずなのに、)最近は「自由研究って、おもしろい!」と思う。
数年前に本屋で偶然手に取った「自由研究のすすめ」みたいな本に、次のようなことが書いてあった。
自由研究は、
①集める ②分類する ③考える、発見する が基本。
この間、7月11日に更新された四日市博物館・吉田さんの「デザイン・バーコード」の話などは、まさにコレだ!と目からウロコだった
(じゃがりこ事件)。
なんでも、集めてみれば、ゆかいな現象や疑問が見えてきたりする。価値も出る。
宣長に関しても、≪不思議≫は多いはずだ。
たとえば、
『古事記伝』1ページを書くのに、どれくらいの時間がかかるのか。興味のある方は、記念館へ来ていただいたら、複製のコピーを差し上げるので試してみてほしい。

文字列がまっすぐにならない。紙に文字が収まらない。字を間違えてしまった、とか。いろいろと問題が出てくるはずである。
また、朝元気な時間に写すのと、夜疲れ切った状態で写すのとでは、ミスの量も違うだろう。また、筆で書くので間違ったとしても、消すことが出来ない。
ちなみに、
宣長さんは昼間医者の仕事があるので、仕事で疲れてから、夜いそいそと書いているのだが、驚くほど、
『古事記伝』には字の誤りが少ない。
そういったことを、想像したり推測したりしながら考えると、
歴史はもっとおもしろい。
パンフレットに書かれていることを切り貼りするだけでなく、「どうしてだろう?」と、疑問を持ってから博物館へ足を運んでもらうといい。
そして、分からないことは学芸員に聞いてほしい。だいたい、答えてくれる。(ただし、受け付けていないところもあるので、事前に電話で確認しておくのがベター)
ちなみに、テーマも疑問も持たずに行くのは、得るものが少ない上に、
入館料ももったいないので、あまりオススメできない。
とりあえず、私は今年もちまたに溢れる自由研究特集をつまみ食いして、文系自由研究の可能性を模索したい。
もっと、楽しいアプローチがあればいいなぁ。
(西山杏奈 にしやま・あんな/本居宣長記念館)
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教育普及への想いを軽やかなタッチで活写していただきました。ぜひこの夏は感染対策の上、本居宣長記念館へ!