桑名市博物館元職員のK.Mです。
昨日は桑名ほんぱくのプログラムで、休館日に貸切鑑賞展示解説付きの日でしたね。 参加なさったみなさま、いかがでしたでしょうか。 いつもなら秋の特別企画展は当館でも一年の中で特に賑わう時期なのですが、今年は新型コロナもあってか、何度か観に行った感じ、例年の通常企画展のような入り……あまり密にならずにゆっくりじっくり観られますけどね。 最近はあちらこちらで感染者数も増えてきて、数の増減に一喜一憂するものでもないとは思いつつ、手洗いやマスクなどの予防にいっそう気をつけなければ、と我が身を振り返っています。 桑名市も、昨今の感染状況等を鑑みて11月20日付で、イベント等の新しい開催基準を公開しています。この基準は12月1日からのものですので、現在開催中の「三重刀剣紀行」は9月17日付の基準に則っているはず……。(桑名市の開催基準などはよろしければこちらからご確認ください。) 使っているクラウドが「今日の日付の写真あるでー」とポップアップで教えてくれるのですが、2年前の今日は村正2の閉幕の日だったんですね。最終日の閉館後にこっそり遊んで撮った写真でした。ロビーに展示してあった館蔵の短刀村正と某パネルの2ショットなんですけれども。いやはや、懐かしいことです。 秋の特別展はどこもだいたい11月末か12月のはじめくらいまでで、そろそろ閉幕の声も聞こえ始める頃。「これだけは行きたい!」と思っている展覧会をどこにねじ込むか、スケジュールと睨めっこしています。 寒くなってくる季節、体調や感染症予防などに留意しつつ、可能な範囲であれこれ楽しみたいものですね。 スポンサーサイト
|
こんばんは。桑名市博物館元職員のK.Mです。
先日、S.Aさんと「名古屋市博行ってきました」「私まだなのよ、羨ましいわ、ぐぎぎぎぎ……!」というような会話をしたところです。 このままだと、三博協ブログを私物化することになりそうなので(既になっているという説も……)、今度「ブログ書かないんですか? 展覧会レポとか」って矛先を向けてみようと思います。が、今夜のところは、つれづれなるままに、展覧会とは直接関係のないことをそこはかとなく書きつくることにいたします。 同じ作品でも、自分の知識や経験によって見え方が違ってきたり、以前とは違う気づきや発見があったりすることがありますね。 最近、『今波恋』(天理図書館蔵)の前半を個人的にまとめたものを見返しておりました。『今波恋』は松平定信の遺した『源氏物語』書写日記、まとめたのは学生の頃のことです。『源語』のこの巻を書き写している頃に何をしていたかや、その巻に対する定信公の所感などが記されていて、なかなか興味深い資料なのですが、今回、妙に気になったのが「服部正保」という人物。 学生の頃の私の、定信公に関する知識と言ったら「白河藩主」「老中」「寛政の改革」が関の山。服部の名前についても、当然ながら「ふーん」ともたぶん思わなかったのではないでしょうか。 ……が、多少は知識をつけた現在。松平越中守家で服部といえば、「あれ?」と思う程度には成長(?)しています。 松平越中守家に近しい服部家で有名なのは2つ、家老の服部半蔵の一族と、服部正就の血筋。正就は松平家の娘さんを妻にしていて、姻族の血統ということもあって優遇されたとか。正就の奥さんと息子さんのお墓は、照源寺(桑名市)にある久松松平一統の墓所の中にありますね。 定信公が服部正保邸で観菊した、というような記事が『今波恋』に出てくるのです。その頃、定信公は白河滞在中。え、正保さんのお邸どこか分かったら、聖地巡礼(?)できるんじゃないのこれ!? 国許でお邸に行ってるってことはなんとなく親しそうな気がする(確証はない)し、手元に『奥州白河城下全図』(白河市指定重要文化財の印刷物。家臣の名前入ってる)あるし! と眺めてみましたが、当然「正保」の名で載っているわけがなかったんですよね。見あたりません。『天明由緒』とかもざっと確認しましたが、それらしい名前を発見すること能わず…… ということで、当館の歴史専門官に相談したところ、 「何をおっしゃるうさぎさん」 ……とは言われませんでしたが、呆れたように「いるでしょう、正保」と、さまざまな史料をもとにご自身で作成した系図を見せてくださいました。 確かにいました、正就の一族の方に、「正保」さん。「丹後」さんだそうで、お邸の場所(推定)も無事判明。これで次、白河へ行った時に聖地巡礼(?)ができそうです、やったー! 時期的に残菊の鑑賞っぽいから、出来れば初冬くらいに行きたいものです。寒そうだけど。 そういえば、この調べ物の最中にネタをひとつ拾い込んでしまいました。調べるにはちょっと骨が折れそうなのですが、館蔵資料に間接的に関わってきそうな内容ということもあり、これも何かの縁と地道に取り組んでみようかと思うのでした。 私は『源氏物語』関係から定信公に興味を持つに至ったのですが、まさかこんな風に関わっていくことになるなんて当時は思ってもみなかったものです。本当に、人生何が起こるか分からないですね。 |
| ホーム |
|