突如再開するこのコラム。
まず、中断と復活の経緯についてご説明せねばなりますまい。要は「画家たちの上京物語展」準備のため中断せざるを得なかったというのが実情なのですが、その間にも「もう書かないの?」とか、「クビになったの?」といったお言葉をいくつも賜りました。特に、同展にもご出品頂いたI県の美術館の学芸員・I野様からは、借用に伺う数日前に次のようなメールを頂きました。 「来週こちらにいらっしゃると、お聞きしました。全く関係ないのですが、貴館の美術館だよりに連載中の、林田さんのエッセイが面白く、毎号楽しみに拝読しております。」 感涙にむせぶと同時に、「本当に関係ない…」と思った次第です。そんな皆様からの後押しもありまして、不死鳥の如く復活してみました。 というわけで、今回のテーマは「おみやげ」です。他館やご所蔵者宅での作品調査、出品交渉、借用・返却など、美術館の業務では、他所様のお世話になることが多々ございます。そんな時、我々はおみやげ(お菓子です)を持って行くようにしております。 このように書きますと、「公務員が物品の授受とは!」とお叱りを受けそうですが、相手は多忙な日々を送られている方々。実際、他館で対応して下さった方の目が明らかに死んでいることもございました。そんな方々のお時間を頂くのに、言葉だけではあまりに申し訳ない。「ありがとうございます」、「お急がしい中すみません」「お前も蝋人形にしてやろうか!」等々。おみやげは、そんな気持ちの表現形式なのです。うっかり忘れることもあるのですが。 なお、量を必要としない場合、おみやげは自腹で購入しております。最近では方針により受け取って下さらない館もございますが、是非受け取って頂きたい。でないと、自腹のおみやげを黙々と食べる30代男性がビジネスホテル(喫煙・シングル)に現出することになりますので。 さて、おみやげのお菓子といっても様々ございます。地元で評判のパチシエが作ったマカロンだとか、プリンス・エドワード島のラズベリーを使ったパイなどでしたら、女性の方は喜ぶかもしれません。しかし、地方の美術館に勤務する身であれば、その土地らしさは重視したいところ。選ぶのならやはり「熊本城の●●」とか、「肥後●●」といった名前の、郷土色あふれる和菓子でしょう。 お菓子の選択は、我々の印象にも影響します。仮に他館に借用にうかがった際に洋菓子をお渡ししたとしましょう。この場合、我々が相手方に与える印象を言葉にすると、以下の様な感じになるのではないでしょうか。 「やあ、僕は熊本の学芸員なのだけれども、おみやげに地元で評判のお菓子を持ってきたよ。このマカロン、おフランス帰りのパティシエが作ったのさ。ところで、君のところの所蔵品、ウチの館に貸してくれないかな?」 なんとも高踏的な印象。これが郷土色あふれる和菓子ですと、 「お、オイは熊本の学芸員ですばってんが、地のうまかモンばみやげに持ってきたとです!だけん、ぬしゃんトコの絵ば貸して欲しかとです!」 といったように、非常に低姿勢かつ剛毅木訥な印象を与えることになるでしょう。これなら、相手もすんなりと作品を貸してくれることうけあいです。 しかし、あまり郷土色を重視しすぎると、女性の好みに直結するとは言い難い、いわばモテないおみやげとなってしまうこともままあります。ところが、最近の熊本では極めて便利なシステムが開発されました。そう、熊モンです。彼奴の威力は絶大です。パッケージに彼奴が印刷されるだけで、お菓子は豊潤な郷土色に包まれるのです。しかも中身はクッキーやチョコレート。モテないはずがありません。相手が女性とフんだ場合、私はできるだけ彼奴を利用するようにしています。 お渡しした時に、「わぁ、熊モンだぁ♡」なんて声が聞こえた日には、もうこっちのもんです(何が?)。おまけにもう一点、別の作品も貸してくれるかもしれませんよ。 そういえば、当館のY田主任学芸員からこんな話を聞いたことがありました。 「この間上野の某美術館に借用に行った時、おみやげ忘れてさ。結局買ったよ。上野で。」 世界を動かすのは、こういった方なのかもしれません。 初出:『熊本県立美術館だより View』151号 2014年12月 ***** 業界裏話的にはかなり盛り上がりそうな話題です。 私は手持ちする際には「個包装」「日持ちしそう」「洋菓子系」を選ぶようにしていますね。 スポンサーサイト
|
・NYサザビーズでのオークションでのエピソード。
・メトロポリタンの同僚・マックス=ワトソンが登場。現在はサザビーズのエキスパート。 ・そこに因縁のピカソ《マテルニテ》の習作 ・さらにフジタを追い落とした共犯ビル・トラヴァースも登場。追放劇のリベンジマッチの様相に。 ・オークションで2番手で競り逃した人間を”アンダービッター”と揶揄する。 ・ケイン・オーブリー(元駐英大使)はゴッホ《アイリス》、ルノワール《ムーランド・ラ・ギャレット》を落とし損ねた”アンダービッター”。この《ムーランド・ラ・ギャレット》はオルセーにある大きい方ではなく半分の小さい方であろうと思われる。これは1990年、大昭和製紙の齊藤了英が約7800万ドル(約120億円)で入手したことを下敷きにしているのだろう。なお齊藤了英はゴッホの《医師ガシェの肖像》も購入しており、「死んだら2枚とも棺桶に入れてほしい」と発言したことは有名。オーブリー自身も現在オークションを支配しているのは「投機と欲望とジャパン・マネーさ」と達観視していた。今は昔のオハナシ。 ・フジタはプラザホテルに投宿。 ・リアトリビューション…美術品の真贋を鑑定して作者名を変更する事 ・フジタのビットのサインはサラが帽子を取ること ・【名言】「サラ、オ金持チ!」からの次ページ「6000万!!」はGF屈指の名場面。 ・というかフジタが誰の代理人かまでは調べ上げたのに隣にいる女性がアラブの大金持ちというリサーチしていなかったビル…大丈夫…? |
・ウフィッツィ美術館のモレッティさん。
・大東美術館のルネッサンス展の輸送便に運よく乗れることに。 ・ラファエロの《聖母子像》が国外へ。 ・フジタのトランクは湾曲した作業台が出てくる。ここが一番の謎。 ・「プロが聞いてあきれるぜ。美術品の一番の敵はなんだね?温度と湿度だよ!」(藤田玲司、1巻6話) 基本中の基本ですね。 ・窃盗団のカルロスも初登場。 |
・今回のテーマは彫刻。
・マッサージの王さん。じつはマフィアでスネークヘッドの幹部。 ・伊豆彫刻の丘美術館登場。これは彫刻の森美術館かな。 ・ロダンの再来と言われた男・ウォリー・ロン。王とは兄弟。 ・最後はまたもや三田村さん登場。 「参考までに言うと日本のアパートは土足禁止だ。覚えておくといい」(藤田 玲司、1巻5話) マッサージ師王さんを襲ったマフィアへのセリフ。 |
・関東宝石の富岡さん、アズライトを探しにくる。
・巨匠榊原南山先生キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! ・「南山の青」といわれるくらい有名らしい。 ・日本画家・藤田東胡、が藤田の父親。幕末の水戸藩士の藤田東湖のもじり。こういうもじりは随所に出てきますね。 ・榊原南山が横山大観チックなのも水戸つながりかな。 ・『月刊美術界』が三田村館長にインタビューしたところ南山ディスりまくり…。 ・「南山先生もマンネリですから……。手慣れた構図!手慣れた色使い!まとまってはいても緊張感に欠ける、自己模倣の凡作ですよ!」(三田村小夜子、1巻4頁) さすがに相変わらずキレキレです。よう言い切りますね。。。 |
こんにちは。三重県博物館協会のコミカル担当です。(※そんなものはありません)
現在三重県総合博物館で開催中の企画展「1960年代の熱気を未来につなぐ~出来事でふりかえる60年の歩み~」が、観光三重にて紹介されましたので宣伝でございます。 ↓↓こちらからどうぞ↓↓ 三重県総合博物館(MieMu)第26回企画展「1960年代の熱気を未来につなぐ~出来事でふりかえる60年の歩み~」で、1960年代の懐かしいモノや映像・写真を見てきました。 |
・サラがギャラリーで働き始める。
・スーパー「ダイイチ」の轟大一社長初登場。葛飾北斎のファン。 ・轟のアートコーディネイターが美川。 ・フジタのアパートの表札は「FUJITA」。ありゃてっきりfoujitaかと思ったけど違うんだね。 ・美川「北斎一本槍では美術館の運営はむずかしいと申し上げたはずです」 ・すみだ北斎美術館が出来た今となっては中々に趣き深いですなぁ… ・スーパーの床に浮世絵って…いや…そりゃ個人の所蔵物ですのでなにをかいわんやですけど…浮世絵の照度制限うわなにするやめろ ・モネ、ゴッホと来てようやく和物の北斎。 |
・賀茂水仙初登場。三田村館長のお茶の師匠。流派は不明。
・カケラから信楽の柴庵(しばのいおり)を復元せいと言われる。 ・フジタが「帝国博物館館長」に直電。どういうコネなんだ。 ・蛍光X線分析装置は日本に5台しかない(当時)。 ・サラのやけどの跡とひまわりの焼け跡がピッタリ、という名場面。 追記 幻のひまわりは山本顧彌太氏所蔵のこちらのエピソードを下敷きにしたものだったんですね…。 |
さて、1巻表題作の『傷ついた「ひまわり」』、これは前後編です。
1話で示した世界観が一気に広がっていきます。そして今回のメインはゴッホ《ひまわり》。 ・場所はスイス・ジュネーヴ。とある美術商がピカソの道化師を売ろうとしてきますが、名言 「ピカソの使っていた木枠はベルギーのブロック社製!ちなみに絵の具はフランスのルフラン社とイギリスのニュートン社!」 が炸裂。 ・高田美術館長・三田村小夜子館長が登場。エール大学卒、元MoMAキュレーターという華麗な肩書、しかも28歳! ・28歳で美術館館長って…。 ・フジタのあだ名「教授」(プロフェッサー)が明かされる。 ・三田村館長、松平美術館にマスコミ連れて贋作退治に(しかも突然やってきて、「モディリアーニ贋作の疑いがあります」とぶっこむ)。 ・1話の酒井学芸員といい基本的にみんなネジがトんでますね。 ・S市立美術館がフジタを頼る、もおカネで折り合わず…。 ・フジタのパートナー・ミス・サラ初登場。出会いの場所は高田美術館で、ひまわりに手を触れようとしたサラをフジタが止めたことからでした。 |
| ホーム |
|