さて集荷であるがここで大事件が勃発。
1月中旬が市内個人宅集荷、こちらは無事に済んだのだが、2月中旬の市内寺院集荷の前日、まさかの大雪。 明日の集荷が危ぶまれる状態となった。 幸い翌日の午後には路面も通れる状況となりこと無きを得たが、こうした天候に左右されることがあるのもイベントの恐ろしさである。なんでもないような感じで開かれる展覧会にも必ずドラマがあることを教えてくれる。 個人的な経験でいうと秋の台風シーズンの集荷も恐ろしい。 一度超大型台風上陸のタイミングと重なって京都→広島という集荷があったのだが、奇跡的に夜に通過し、何とか行程通りに終えることが出来た。未だにこの集荷に赴いたN通作業員さんとはこの伝説の集荷について懐かしがったりする。ある種の戦友的な結びつきであろう。 さて無事集荷も終わり、2月16日で前の展覧会も終了した。展覧会のバラシを2日で行い、飾り込みをはじめていく。 今回は2週間のクローズで、この期間に館のメンテナンスを行いつつ(今回は非常誘導灯の取り換えを行った)、作品入れ替えを進める。 1月に出品作品のコンディションチェックをした際、状態があまりよろしくなかった作品(八田知紀の作品。八田は鹿児島出身、江戸末期の歌人。吉野に歌碑がある)を修理に出したのが戻ってきたので出揃った。 1日目は台のセッティング、午後からモノ入れ。2日で粗方入ったのでバランスを見る。 やっぱり「1 薩摩藩の成立」が弱い。というか展示するモノが無い。 天保年間の鹿児島城下絵図(複製)は小屏風ながら中々面白いのだが、肝心の薩摩・大隅の地図や島津家の書や文書(島津家文書はもちろん国宝だ)は当然当館には無く、そのあたりをどう埋めるのかを苦心しつつ館蔵品を当たる。 …そんな中、展示室に化け物が現れたのである……ああまさかこんなことが本当に起こるとは…(((( ;゜Д゜))) スポンサーサイト
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「薩摩と桑名」展では薩摩藩士のお墓がある4か寺を写真パネルで紹介するので、その写真と、4か寺に挨拶にうかがう。これは12月から1月にかけておこなった。
当館には公用車が無いので、公用車の手配からせねばならない。土日は大体使用出来るので土日にこうした撮影や集荷はあわせるのだが、調査や集荷は相手のある出来事。先方が平日を指定してくると公用車予約ができるかどうかがストレスになってくる。 今回は土日で調整をつけていただくことが出来た。感謝。市内の個人宅集荷も無事終了。また撮影した写真を大判プリント印刷に出す。 年があけると同時に当館では「干支と吉祥」の展覧会が始まる。 作業員をお願いする予算があるわけではなく、自分たちで展示を行う。今回は1月8日開きなので6・7の2日間で展示をせねばならない。 私は担当ではないのだが、人手が足りないのと、モノの取り扱いをアルバイトの学生さんたちに教えないといけないので2日間は展示室へ。ホンモノを手にとる緊張感は常に保ちたい。あと、恒常的に人に教える作業をしていると自分の作業の再点検が出来るので、なるべく初心者を教えるようにつとめている。 「干支吉」が始まるといよいよ次の展覧会の準備もラストスパートだ。契約にポスター関係書類の提出、展示プランの作成。 展プラは絵画展は楽だが、歴史展は難しい。「台」を設置する必要があるからだ。 手持ちの台は限られているので、斜台や小さい台をどう組み合わせて見やすく見せるか。そこらへんが学芸の腕の見せ所である。あーでもないこーでもないと展示案をひねる。 とりあえず仮に作ってみて、メジャーを持って展示室を歩き想像。どないなもんかな~と思いつつ、コーナーを区切っていく。 展示構成としては、 1、薩摩藩の成立…薩摩藩ってどこにあるの?どういうところなの?という導入部 2、久松松平家と島津家…婚礼関係があるよ。系図で示さないとピンとこないだろうから系図を作成する。こういう作業は好きだから良かった(; ̄∀ ̄)ゞ 3、丸十字紋の雛道具…今回の目玉だ。さすがに豪勢である。だれの雛道具かわからないのが残念。 4、西南戦争…幕末のあんなこんなは昨年6月の幕末展でやったので今回はこちら。あまりに展示物が無いことと、台帳には谷干城とあった作品がどうも谷らしくなく(号も違う)、「伝来・谷干城」とする。もう少し調査したいが時間が無い。 5、宝暦治水…市内の寺院にご協力いただき、写真パネルなどを入れて紹介する。 6、薩摩の工芸…薩摩焼や切子の写しなど館蔵工芸品を展示する。こういう機会でもないと中々展示出来ない。 7、薩摩隼人たち…桑名町長をつとめた薩摩人や、昌平黌での薩摩藩儒者と桑名藩儒者との交流、なぜか東郷平八郎の日本海海戦の書など色んなものがある。 とりあえずこの7コーナーで仮のリストと展示プランは出来た。キャプションも半分ほど進んでいる。 あとは1月後半に市内寺院の集荷と、広報データ、ホームページの作成あたりをこなしていくことになる。 |
連日展覧会の話題でしたが今日は面白そうなイベント見つけたのご紹介。
詳細はコチラとかやりながらFBが開かないのだが。(2014.02.24現在 not found) 内容はこちらのブログの方が詳しい。 「文学部の逆襲」というタイトルについても、「逆襲の文学部」じゃないあたりが意味深だ。 「●●の逆襲」とくれば本質的にはやはり「ゴジラの逆襲」であるから(あるいは「メカゴジラの逆襲」か)、そのあたりへのオマージュがあれば楽しみだ。 |
11月中におおよその館蔵品での出品リストが固まってくると同時に、市内個人やお寺さんへの借用および協力交渉を行うことになる。こうした交渉(ネゴ)も重要な学芸員のスキルの一つである。学芸員はその職業柄、様々な階層の人と話をすることがあるので、一定程度の会話技術は習得している必要がある。また、会話のネタを日常から拾っておくのも大事な素養である。
私が個人宅などへ借用の依頼等に行く際に気をつけていることは、マナー等も勿論だが「どうした調度品をあつらえているか」に目を光らせることだ。床の間に掛かっている掛け軸、飾っている置物類、蔵書棚などがあればざっと目を通し、(ギブツであるかも自分なりに判断し)その個人がどうした傾向を持つ人物かを瞬時に判断するのである。 とにかく11月中にそうしたアポを取り、市内の輸送なので公用車の予約と先方との集荷の調整を行う。また保険を掛ける必要があるため保険業者と契約の書類を作り、現金の準備をする。保険の場合は先に払い領収書を切られた段階で効力が発生するため、事前の契約が必須である。こうした場合には事前に現金が必要で(これを「資金前途」と呼ぶ)、会計用の書類を作るのである。幸いウチには優秀な部下がいるので大体このあたりの書類作りはやってくれる。大助かりである(^∀^)ノ さて浮世絵の返却と同時並行(12月頃)で、仮に作ったリストを眺めてみると、流石に展示品が足りない。 埋まるのは1階だけと判断し、2階は別テーマの館蔵品展にすることに。学芸担当の臨時職員で、日本画専門の子がいるので、その子に2階の展示案作成を依頼。優秀な子なのでまぁ心配はないだろう。後見役としてO塚歴史専門官もいるのでまぁ無問題だ。繰り返しになるが、こうしたことが可能なのもモノ持ち館だからである。 出品リストと展示プラン(通称「展プラ」)の作成は重要事項だが、作業的にもっとも早いのは、いわゆる 「目玉の選定」 である。いわゆる、ポスターに掲載したり、HPなどで紹介する今回の主役、センターの選出だ。 今回の展示では3月の展覧会であることと、やはり丸十字がビジュアル的に強いことを勘案して「丸十字紋の雛道具」を選んだ。中でも「婚礼調度の筆頭」こと「貝桶」はやっぱり外せない。8年前に私が「大名の婚礼調度」を担当した際もやはりポスターには上田市博さん所蔵の貝桶を使用させていただいた。ま、桑名だしハマグリ(貝合わせの材料)はやっぱ外せませんよ(^-^;) |
宣伝がてらカキコミを。
この3月1日から桑名市博物館で開催される「薩摩と桑名」展ですが、現在飾り込みの最中です。 この展覧会が出来るまでを少し振り返ってみましょう。 桑名市博の場合、年間の展覧会予定は特別展で4~5年先、通常の企画展でも1年前にはほぼ決まっています。 2013年度の場合は8本の展覧会を打ちました。そのうち私の担当が「五霊硯と酔李白図」「幕末・会津・桑名」「武門の縁(行田・白河と合同展)」「北斎・広重・国芳(特別展)」に加えてこの「薩摩と桑名」で5本ですから、まぁ尋常じゃない仕事量だったわけです。もちろん展覧会の準備だけやっていればいいわけではありませんが、その他もろもろについては今回は触れません。とにかく展覧会をこなさなきゃいけない。 こうなってくると、「とりあえず目の前の仕事」をこなしていくだけで精いっぱいになります。なので、この「薩摩と桑名」に取りかかることが出来たのは「北斎・広重・国芳」の展示が始まった10月後半からです。 そもそもどうして桑名で薩摩の展覧会をするのか<というと、桑名に隣接して流れる木曽・長良・衣斐川という木曽三川というのがあるんですが、この三川のため昔からこの地域では水害が多かったんです。なので、江戸時代に木曽三川分流工事というのが行われ、その担当となったのが薩摩藩だったんですね。それから260年という節目の年にあたるということと、その難工事の犠牲者となった藩士たちのお墓が桑名市内に4か寺あります。そうしたあたりもあわせて紹介したいという意識がまずありました。ただそれだと10年前に宝暦治水250年記念で展覧会をひとつやってますので、ちょっと別趣向を出したいと。 桑名藩主であった久松松平家と島津家との間には婚姻関係が重なっているのでそれも紹介出来る。またウチは館蔵品がたくさんあるので、薩摩関係のモノもこの機会にまとめてご覧いただくこともできる(これはモノ持ち館の強み。東郷平八郎の書とかも収蔵している)。そうした感じでコンセプトを固めていきました。 ただ、桑名市も予算削減が続き、鹿児島までの輸送費なんかとてもとても。桑名-鹿児島便出そうと思うと私の概算でも最低150万、常識的には2~300万はかかると思いますがそんなのはなかなか難しい(時間的にも厳しい)。ですので今回は館蔵品+市内の方やお寺にご協力をいただくことで何とか企画展としての体裁を整えるという前提で企画展を作っていきます。 |
四日市市立博物館でした。
川本さんが「昭和のくらし」について説明されていました。 昔なつかしい様々な道具が展示されていました。 スタジオでは谷岡館長が博物館の魅力をしていらっしゃいました。 昭和のくらしはコチラ。 |
●大雪
今日は雪が凄かったですね~。先日私も館周囲の雪かきをやりました! お客さんが怪我すると大変ですからね…。 ●バレンタインDAY 今日はバレンタインDAYでもあります。 ただし職場のバレンタインは色々と煩わしいもの。かといって全くやらないのも「失われた民俗行事」のようでさみしいものです。 そこで本年当館では斬新な取り組みをしてみたのですが…これが意外と好評でした。大事なのは遊び心(余裕があるということ)。 ●わくドキでパラミタミュージアム・Y浅さん出演 パラミタ情報コーナーで開催中の「20世紀フランス絵画展」の案内をされていました。 http://www.paramitamuseum.com/plan/exhibition.html 展示は3月31日まで。 ●県文化審が2施設の独法化求める 美術館と総合博物館 http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20140212/CK2014021202000011.html ミュージアムと独立行政法人というシステムは果たして適応するのか。 すでに医療現場で導入されつつありますが、「小規模館学芸員=町医者」であるとみなす私の立場としてはとても興味深いものがあるが、その中で医師・村上智彦氏の議論はひとつの指針になる。 興味ある方はコチラ。 |
三重テレビの帯番組「とってもワクドキ!」月曜日において割と順調に続いている「行って、みよう!博物館」のまとめです。
これまではリストをいちいち挙げてましたが煩雑なので記録はこちらのまとめに追記していきます。 リポーターは中津友里さん。ブログはこちら。博物館レポートもちょくちょく紹介されます。 130401#01 本居宣長記念館 松阪市 130408#02 三重県立美術館 津市 130415#03 亀山歴史博物館 亀山市 130422#04 三重県総合博物館(仮) 津市 130429 お休み 130506#05 はにわ館 松阪市 130513#06 真珠博物館 鳥羽市 130520#07 マコンデ美術館 伊勢市 130527 お休み 130603 お休み 130610#08 海の博物館 鳥羽市 130617#09 ルーブル彫刻美術館 津市 130624 お休み 130701#10 大黒屋光太夫記念館 鈴鹿市 130708#11 伊勢現代美術館 南伊勢町 130715#12 松浦武四郎記念館 松阪市 130722 お休み 130729#13 高田本山専修寺宝物館 津市 130805#14 鈴鹿市考古博物館 鈴鹿市 130812#15 伊賀流忍者博物館 伊賀市 130819#16 熊野市紀和鉱山資料館 熊野市 130826 お休み 130902#17 伊勢型紙資料館 鈴鹿市 130909#18 桑名市博物館 桑名市 130916#19 神宮徴古館 伊勢市 130923#20 山田奉行所記念館 伊勢市 130930 お休み 131007#21 斎宮歴史博物館 明和町 131014#22 朝日町歴史博物館 朝日町 131021#23 尾崎咢堂記念館 伊勢市 131104#24 秤乃館 四日市市 131111#25 石水博物館 津市 131118#26 佐々木信綱記念館 鈴鹿市 131125 お休み 131202#27 三重中央農協郷土資料館 津市 131209#28 かめやま美術館 亀山市 131216#29 松阪市立歴史民俗資料館 松阪市 131223 お休み 131230 お休み 140106#30 大山玉宝美術館 志摩市 140113#31 志摩市歴史民俗資料館 志摩市 140120#32 輪中の郷 桑名市 140127 お休み 140203#33 四日市市楠歴史民俗資料館 四日市市 140210 お休み 140217#34 四日市市立博物館 四日市市 140223 お休み 140303 お休み 140310#35 津市美杉ふるさと資料館 津市 140317#36 明和町歴史民俗資料館 明和町 |