そういえば、秤屋さんのコレクションの発端について書こうと思ったものの、何を読んで覚えていたのかを忘れてしまっていた。最初は秤ではなく、とってもビックリするものをあつめていたという話なのだが、ご本人から聞いたわけではない。そのため、証拠もないものを勝手に書くわけもいかず、困ってしまった。
ということで、「何だったかな」とお昼休みに職場の書庫をごちょごちょしていたら、やっと見つかりました。『M3』という、三重県発行の「みえのくにづくり情報誌[エム・キューブ]」が出典でございました。1997年3月発行のエムキューブ第二号、スペシャル「三重・歴史ロマン、発掘」という特集記事です。 この特集記事はなかなか面白く、みえむで現在展示しているミエゾウの権威ともいえる亀井節夫さん(当時京都大学名誉教授)、県内の考古学の発展に尽くされた八賀晋さん(当時三重大学教授)、作家の岸宏子さん、書家の榊莫山さん、そして秤屋健蔵さんの五名の方々のインタビュー記事で構成されています。また、図書館などで見てください。 目的の、秤屋さんのインタビュー記事をめくりますと。ありました、「最初は秤ではなくて便器収集をしていた」という話が・・・。子どものころから収集癖があったそうで、小学校時代の古銭収集、古いメンコ収集、そして就職した後に母親にコレクションを燃やされてしまったという衝撃的な話、収集癖の事をいわず結婚してそれでも集めた話、便所が汲み取り式から水洗式に変化する時期に便器を収集して磨き砂でこすっていた話、おもしろい話でいっぱいでした。秤を集めるようになったのは、奥さんにどれか一つにしてといわれたからとのことでした。 そして、秤を可動状態にして保存するこだわり、研究者との出会いも記されています。秤屋さんとお話しした時におもったのは、非常に人とのつながりを大切にされている方なのだなという点でした。 三博協の40周年記念展示が終わり、種々雑多なことに追われる中で、ちゃんと後始末ができていないのですが、ここで培った色々な人とのつながりを大切にせねばなと思う今日この頃でした。反省ひとしおです。 |
40周年記念展の参加していただきたかったものの、参加できなかった館がある。2014年3月30日で閉館した、秤の館である。
お互いに連絡を取り合って、閉館はするものの、何らかの形でできればいいなと話し合っていたのだったが、諸事情から困難となった。館長の秤屋建蔵さんとお電話も含めて、お話しさせていただいた都度都度、色々なお気遣い、そして心にぐっとくるお話、色々印象深いものがあった。 三重県博物館協会の事務局になってから、何度となく電話で連絡を取り合い、お声だけは何度も拝聴していたものの、お会いする機会が無かった。そんなことで、休日にプライベートでうかがった。もちろん、何のアポイントも取っていなかった。そして、三岐鉄道保々の駅の近くにカーナビを定めて、少し広い道から、最後細い道をグニャグニャと行くと、秤の館に到着した。秤の館はご夫婦で、ご自身のコレクションを紹介されている館で、月曜と年末年始休館でその他の日は9時30分から17時まで開館されていた。個人宅でとなると、人に乞われたときにあける形態がよくあるが、ここは特に、お店を経営しているわけではないのに、ほとんど毎日開館していたわけである。展示室・展示資料、開館の状態も含めて資料館というにふさわしい館なのだった。 早速中に入って、観覧希望の旨を告げる。ご夫婦で丁寧に説明をしてくれる。気遣いしてもらうと悪いし、普通にみたかったので、何も名乗らず帰って行こうと考えていたのであるが、余りにも親しく対応してもらったため、嘘をついているような気分となり、早々に白状した。いつもお電話でおはなしさせていただいています、名乗らずごめんなさいといったことを、ごにょごにょと挨拶させていただいた。これまでの経緯や、秤の解説はもちろん、私自身の仕事へのアドバイスなど、非常に心温まるお話をいただいた。相手の、雰囲気を読みとり、そしてその雰囲気に応じて、自分たちの伝えてあげたいこと(それは何もものの説明だけでは無く、ものを出発点とした人の話となる)を伝える。そんな感じであった。 さて、秤の館について、どんな資料館だったのかということを知るための資料を紹介しておこう。これらの資料は、秤屋建蔵さんからいただいたものである。 まずは、大阪府立弥生文化博物館の図録、『平成19年度夏季企画展 計る・量る・測る―度量衡の歴史展』である。この中で、「3はかり・あれこれ―秤乃館所蔵資料精選」という項目がとられて、多くの秤が載せられている。本の最後に付いている、出品目録を見ると、物指・ゲージほかが166点、原器・基準尺ほかが9点、測量器が16点、枡が150点、秤が171点、原器ほか3点、中国の度量衡53点、さまざまな計量器52点、諸外国の度量衡22点と642点を数える。圧巻というほかない。品も安土桃山時代のものから、古今東西幅広い。 そして、『ラジオ深夜便』151(2013年2月号)である。ここでは、巻頭カラーで秤屋さんの笑顔とともに取り上げられている。子どもの頃から、古いものを集めるのが好きで、広告代理店に勤めながら秤乃収集を続け、1991(平成3)年に秤の館をオープンさせたというエピソードが添えられている。ここでも、滋味あふれるお話が少し紹介されている。きっとラジオ深夜便でも、そのお話が展開されたのだろう。 そういえば、昔、このコレクションを集めはじめたときの面白いエピソードが、県の外郭団体などがだした広報誌かなにかに載っていたような・・・。また、これも、調べてご紹介しよう。 |
今回の展示や、協会の運営にあたって、中村幸昭前会長(現顧問)のもとを訪ねることが重なりました。その中で、いろいろと、これまでのお話をいただきましたが、そういえば鳥羽水族館や三重県の水族館というのはどういう位置にあるのだろうという思いが出てきました。布谷理事(みえむ館長)と事務局員2人とで鳥羽水族館を訪れた際も、車中や昼食を3人でとったときに同様の話題がでました。一方、今回の展示では、県内博物館の歴史をふり返るということで、原稿や写真を各館から出していただきました。鳥羽水族館の写真は中村幸昭顧問が自ら水槽からタモで魚をすくって子どもにみせているものでした。ご本人に確認しましたら、ご本人で間違いない、独身時代の写真だとおっしゃっておられました。
県内博物館の歴史については、三博協がこれまで発行している、冊子類でかなりカバーできたのですが、博物館学的にどのような位置づけになっているのかが気になりまして、同時並行で文献も集めておりました。しかしながら、水族館学関連の書籍は一度読まねばと思いつつ、後回しになっていました。今回の展示が終わって一段落付いたので、おうちでごろ寝しながら、ざっとめくった次第です。 めくった本は鈴木克美・西源二郎『新版水族館学 水族館の発展に期待をこめて』(東海大学出版会、2010年)です。県図書館から借りてきまして三重県に関係のあるところを付箋をつけてみました。 まずは、付録の年表から、県内水族館の項目を抜き書きしてみました。 ・1928(昭和2)年 二見浦水族館 個人⇒財団 三重・二見町 4月1日 二見町水族館ともいう ・1933(昭和8)年 浜島水族館 個人 三重・浜島町 3月31日 ・1949(昭和24)年 赤目淡水魚水族館 協会 三重・名張市 4月 さんしょう魚自然水族館ともいう ・1954(昭和29)年 赤目四十八滝サンショウウオ飼育場 協会? 三重・名張市 7月 のちに日本サンショウウオセンターと改称(改称などの経緯不明) ・1955(昭和30)年 鳥羽水族館 会社 三重鳥羽市 5月15日 1957年4月15日開館ともあるのは誤認? ・1956(昭和31)年 三重県は間島水産試験場水族室 県立 三重・浜島町 5月 浜島水族館と通称 ・1966(昭和41)年 二見浦熱帯植物水族館 会社 三重・二見町 6月 ・1966(昭和41)年 二見夫婦岩シーパラダイス 会社 三重・二見町 7月25日 8月15日開館という ・1970(昭和45)年 志摩マリンランド 会社 三重・阿児町 3月18日 といったところです。浜島の水族館や、県の水産研がしていた水族館、二見の戦前の水族館は今後要リサーチです。 他にも、本文では色々な三重の水族館の特徴が記され、全国的な文脈にのせられていました。 |
松阪市歴史民俗資料館から、現在開催中の展覧会の近況報告が寄せられました。ご紹介いたします。
松阪市立歴史民俗資料館では現在、特別企画「おかげ参りと街道文化展」を開催しています。松阪周辺の街道文化と、当時のおかげ参りの様子を紹介する内容になっています。 「おかげ参り」とは、伊勢神宮への集団参詣のことを言い、最盛期には数百万人規模の群参が行われたそうです。参宮街道にあたる松阪も多くの参詣者であふれ、道を横切って向かいの家へ行くことすら困難なほど大いに賑わったと言われています。 今回の展示は、タイトル通りおかげ参りに関する資料のほか、松阪を中心とした街道文化に関する資料を多く展示しています。松阪市六軒町の「六軒茶屋之図」、「松坂遊里大双六」、松阪等の宿屋の「引札」などはぜひご覧いただきたいと思います。他にも、文政13年の年号が入ったおかげ参りの笠と柄杓や、宝永2年・明和8年・文政13年の3種類のおかげ参りの年の神異記なども展示しています。 【展示の様子】 ![]() ![]() ![]() 毎年、県外からの観光客が多く来館されますが、今年は特に遠方からのお客様が多いように感じます。伊勢神宮への参詣が目的で、その前後に松阪に立ち寄るという方も多いようです。最近は松阪市内のホテルも予約でいっぱいだとか…、やはり遷宮の影響なのでしょうか。伊勢神宮も今年はおかげ参りに匹敵する程の参拝客が見込まれるようですね。 松阪市立歴史民俗資料館の特別企画「おかげ参りと街道文化展」は平成26年2月23日(日)まで開催していますので、ぜひ足を運んでみて下さい。 松阪市立歴史民俗資料館HP |