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【鳥羽水】結果発表! カエルとイモリの天気予報の的中率は?
この夏、鳥羽水族館では6月1日から8月31日まで、「カエルとイモリの天気予報水槽」を設置しました。今日は、その集計結果が出ましたので簡単にお知らせします。
その前に本水槽について簡単にご説明したいと思います。水槽はその名が示すとおり「カエル」と「イモリ」の習性を利用して翌日の天気を予想する水槽です。

①
「カエルとイモリの天気予報水槽」全景

ご承知の方もおられると思いますが、カエルもイモリも分類的には両生類という仲間に属します。両生類の仲間の皮膚はとても乾燥に弱く陸上に居る時でもつねに体に湿り気が必要なのです。
 つまり、雨が近づき湿度が高くなると彼らは活発に動きまわりますが、逆に晴れの日が続くと水の中へ入って体を湿らせるのです。例えば、カエルが植物の葉っぱの上に乗って目がらんらんと輝いている時は、曇りから雨。反対に葉っぱの裏側でじっとしていたり、水に体を浸している状態なら晴れということになります。
 イモリの場合も同様です。行動が活発になると曇りから雨、水に浸かっているか陰でじっと動かなければ晴という風に考えます。

 前置きが長くなりましたが、6月~8月における一日前予報の的中率は、

③
二ホンアマガエル  6月…40%、7月…65%、8月…58% 累計54%

②
アカハライモリ   6月…27%、7月…77%、8月…55% 累計53%

さて皆さんは、この結果をどう見ますか?
私的にはこれはスゴイと思います。飼育係の主観もあるでしょうが、ひと昔前のテレビの天気予報の的中率を考えると、彼らの5割超えはさすがではないでしょうか?

 さらにもう一つ天気予報をしている「モノ」があります。それは飼育係が足に履いて空中に放り上げる下駄。下駄君の的中率累計は、35%となりました。
半分お遊び的な部分もありますが、来館者にお楽しみいただけたかなと思います。

(若井 嘉人 わかい・よしひと/鳥羽水族館)
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[2023/09/24 22:00] | 未分類 | page top
【三重県博】次は、第35回企画展「鳥のひみつ調べ隊! みて・きいて・ふれて」です
 現在開催中の第34回企画展・特別展「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」には、三重県内はもとより全国各地から多くの方に来場いただいております。おかげさまで、9月7日(木)には観覧者数が30,000人を超え、ささやかな記念セレモニーをさせていただきました。「高畑勲展」は9月18日(月:祝)まで開催いたしております。日本のアニメ文化の一翼を担った高畑勲監督の足跡を辿るこの企画展・特別展、是非ともご覧ください。

 さて、「高畑展」の次は2023年10月7日(土)から12月10日(日)まで、第35回企画展「鳥のひみつ調べ隊! みて・きいて・ふれて」を開催いたします。館蔵資料を中心に生物としてのトリの特徴や、絵画・工芸等に取り上げられた鳥など(生物としての鳥はカタカナの「トリ」で表しました。生物としての人も「ヒト」とカタカナ表記する場合が多いです)、自然系、人文系、民俗系を含めた展示となりますので、是非お越しください。
 私は、畜産系の出身なので、トリといえば食肉としてのトリがまず思い浮かびます。現在はトリ肉といえばブロイラーなど鶏肉が主体ですが、過去にはツグミ、ツル、ウズラ、キジなど色々なトリが食べられてきました。今でも京都の伏見稲荷参道では「すずめの丸焼き」や「うずらの丸焼き」が売られています。また、京都(あるいは関西圏)では、鶏肉を専門に扱う(牛肉や豚肉などは置いていない)「かしわ屋」(鶏肉を「かしわ」と呼んでいます)が店を構えており地元の人がよく利用しています。
 最近では、高級で味わい深い「地鶏:じどり」がブームとなり各地で「地鶏、銘柄鶏」が育てられています。全国の地鶏・銘柄鶏を載せたWebページもあります。ずいぶん前に9年間ほど宮崎に住んでいましたので、地鶏といえば、まず宮崎の「地鶏の炭火焼」が思い浮かびます。独特の風味は忘れられず、宮崎に行った際はいつも空港内の売店で「地鶏の炭火焼」を購入しています。機会があれば一度食べてみてください。
 一方、次回の企画展では食文化の展示の一環として三重県内で食べられている「焼き鳥」も紹介しています。「焼き鳥」のレプリカ作りのため、先日七輪で炭をおこして「焼き鳥」を実際に作成してみました。みそだれを付けて鶏肉を焼くというのは初めての体験でした。これまで、「焼き鳥」といえば塩や醬油だれを付けたもの、あるいは地鶏の炭焼きのようなイメージしか持っておりませんでした。味噌の焼けた香ばしい匂いが漂いこれはこれで焼き鳥としてありかなと思いました。地域が異なればそれぞれの地で独特の鶏肉の料理方法があり食文化の奥深さを感じ取ることができました。
 食肉としてのトリのことばかり書いてきましたが、次回の企画展ではさまざまな角度から鳥を取り上げています。高畑展同様多くの方々に来場いただきたく思います。ご来場をお待ちしています。

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(守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館)
[2023/09/17 22:00] | 未分類 | page top
【斎宮歴博】~特別展「海の祈り」~ 10月7日(土)から開催します。
斎宮歴史博物館の大西です。

コロナ禍では講堂の座席数(120名)の半分を定員としていた講座等も、今年度は年度当初から120名の定員で開催しています。
コロナ禍では、満員で60名でしたが、今年度は100名以上の参加がある講座が続いており、ついつい微笑んでいました。
しかし・・・・ 今年度の入館者数は、前年を下回り推移しており、厳しい状況が続いております。

当館は、バスツアーで来館されるお客様も多かったのですが、このあたりがコロナ前と比べ戻っていない状況です。
旅行の形態も観光バスでの旅行は減ってきてはいましたが、コロナで拍車がかかった感があります。

何か打開策は???・・・・・・と思いながら、起死回生の願いを込め秋の特別展を開催します。
あと1ヶ月を切りました特別展「海の祈り-海浜の神社と伊勢神宮-」を少し紹介させていただきます。

① 画像 特別展「海のいのり」   
①令和5年度特別展「海の祈り」
人々が織りなす様々な活動の成就や平安な世を願う想い、感謝の気持ちをどのようにして神々に伝えていたのかを「海」と「神社」という視点から紹介する展示です。
世界遺産「神宿る島」宗像(むなかた)・沖の島と関連遺産群や鳥羽市の「神島」に鎮座する八代(やつしろ)神社に神宝として伝わる伊勢神島祭祀遺物などを紹介します。
また、明治時代初めまで行われていた伊勢神宮の贄海神事(にえうみしんじ)に関する資料なども展示します。

② 画像 贄海神事関係文書
②贄海神事関係文書
それと、海と言えば鳥羽市立海の博物館ですが、当館と連携講座を開催します。
10月14日(土)には鳥羽市立海の博物館、11月25日(土)には斎宮歴史博物館で講座を開催します。
11月25日の当館での講座では、鳥羽市立海の博物館の平賀館長にご講義いただきますので、こちらも期待いただければと思っています。

③ 画像 特別展「海のいのり」チラシ
③令和5年度特別展「海の祈り」チラシ-2
[2023/09/13 22:00] | 未分類 | page top
【亀山歴博】レシートに思いを馳せて
 買物をして代金を払うと店ではレジを使って代金を受け取ると、そこから出てくるレシートをちぎって渡す。今まで当たり前だった日常の遣り取りは、最近では随分変化していますね。いつも行く店では、ポイント持ってますかとか、携帯電話のアプリで精算とか、機械に表示された代金を見て、自分で代金を入れ、レシートも要るかどうかの画面で選べたり。

 私といえば、買物は現金が殆どなので、レシートを受け取ってます。でもレジの傍らには、不要レシート入れの箱を見かけますので、その仕組みの店では、レシート要りますかと聞かれたり、こちらからレシート下さいといっ受け取る事も多いですね。

 では、私がレシートで家計簿を付けているかといえば、そんな事は無く、いつまでも財布に入れているので、どんどんレシートが財布に溜まり、気付いたら財布を分厚くしているのはレシート、ということがしばしばあります。 こうしたサイクルで財布に溜まるレシートの束をみると、いつも頭に浮かぶものがあります。それは、亀博収蔵の江戸時代のレシート。切紙を何枚も重ねて紙縒で綴じた、正に束なのです(写真01)。

s写真01

 では、江戸時代のレシートにはどんな内容が書かれているのでしょうか。
冒頭は「覚」、代金は「弐拾文」、商品名、この場合は手間賃「御小脇指弐腰ぬくい代」そして、ここが大事な一文「右之通慥ニ請取申候(右の通りたしかにうけとりもうしそうろう)」、日付「五月十九日」、代金を請取った店「とき屋金右衛門」、代金を支払った人名「原仲蔵様」。武士ならではのレシートですね(写真02)。

s写真02

 次は身近なレシートです、冒頭は「覚」、代金は「廿七文」、商品名「とうふ三丁」、そして、大事な一文「右ニ付慥ニ受取申候(右につきたしかにうけとりもうしそうろう)」、日付「五月十四日」、代金を請取った店「京やか兵衛」、代金を支払った人名「かとういつき様」(写真03)。

s写真03

 今のレシートで共通している記載は、代金、商品名、日付、店名でしょうか。今のレシートに無いのは代金支払の人名。今のレシートに大概あるポイントの記載は、江戸時代のレシートには無いですね。

 こうしてみると、百五十年以上も前の束のレシートから、物価やどこで買っていたかなど、当時の暮らしぶりや、店が取り扱う商品などを知る歴史資料なのだと改て感じます。

 ということは、私の財布の中のレシートの束も、百年後には…。

(小林秀樹 こばやし・ひでき/亀山市歴史博物館)
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写真03は「五月四日」かも知れません。
[2023/09/02 22:00] | 未分類 | page top
【四日市博】絵本
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 今でもその情景が目に浮かぶのだが、幼稚園の頃、先生が宮沢賢治の『注文の多い料理店』の読み聞
かせをしてくれた。話が面白くて、怖くて、次はどうなるんだろう、何が隠されているんだろうとドキドキしながら、遊戯室の窓の外の木が生きているように動くのを眺めていた。

 そして大人に成って、この物語の絵本を見つけた時、ためらわず買い求めた。以来、この絵本だけで数冊。同じ物語ばかり集めるよりも、いろいろな絵本を集めた方が新鮮で楽しく変化に富んだ世界がひろがるのに、と思わなくはないが、これはこれで面白い。一つの物語から、それぞれの絵本作家が展開するイメージ世界の違いが見られるし、また自分の想像した世界との違いも同時に味わえるからである。

 絵本を比較すると(職業柄どうしても比較し、調査し、研究する癖が抜けないので)、絵にしている場面は多少の違いはあっても、ほぼ共通していると言ってもいい。ただ「すっかりイギリス兵のかたち」と表現された、主人公である二人の若い紳士のスタイルが、それぞれ異なって衛兵風やハンター風だったり、何よりも山猫たちのたくらみがバレて正体を現す、物語の中心となる恐怖の場面の表情が各作家それぞれに工夫を凝らしていて楽しめる。

 クラシックのコンサートが同じ楽譜を元に演奏しているにもかかわらず、指揮者や演奏家たちの違いによって、それぞれに異なった表現世界を楽しむのと同じようなことなのだろう。こちらに楽しんでしまおうという意欲があればある程、楽しさは増すに違いない。

 そう言えば、国宝中の国宝《源氏物語絵巻》(12世紀前半/徳川美術館、五島美術館)も、アートディレクターとも言うべき幾人かの貴族のもとで、当時第一級の宮廷絵師や書家たちがチームを作り、それぞれ異なった場面を選んで競い合った成果と言われている。
 ひとつの芸術作品から、また別の人々の想像力の成果として幾つものバラエティに富んだ芸術作品が生まれていくことも、実に楽しいことなのではないだろうか。「想像力」から「創造力」へ。

(吉田 俊英 よしだ・としひで/四日市市立博物館)
[2023/08/22 23:00] | 未分類 | page top
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