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【四博】廃物利用のジオラマ
「この家はね、廃棄された平成時代のゴム印を再利用してるんですよ。屋根瓦はダンボールの芯を使ってます」
「地面の土はね、おが屑を着色してます」
「道路は特別展で使ったパンチカーペットの残りです」
「線路の柵は百均で買ったプラスチックの籠を切って色を塗りました」
「プラットホームの駅名板はマッチ棒を組み合わせて作りました」
「茶畑のお茶の木は人工芝を細く切って畝に見立ててます」
「桜並木の桜の木は、針金で芯を作って、細かく千切ったピンクのスポンジを
ボンドでくっつけました」
「踏切の板は赤福の経木箱をバラして細く切ってから貼り付けました」

内部線ジオラマ②

私たちが「昭和展」と呼んでいる冬の恒例展示のテーマは

「昭和のくらし、昭和の一隅」

博物館の昭和世代も私を入れて数人となったため、私がリアルタイムで体験したことを平成世代のスタッフに伝えることも含めて、毎年展示の仕方に知恵を凝らしている。

 中でもいささか自画自賛になるが、昨年、私が休日に趣味で製作したジオラマを展示したところ意外にウケたので、さらに手を入れて今年も展示することにした。

内部線ジオラマ①

四日市の誇るナローゲージの内部線(現あすなろう鉄道)をメインに、昭和30年代の日永駅をイメージした畳1畳分のジオラマの土台は、使い終わった木製パネル。お金をかける代わりに手間をかけた。
日頃から何でも「捨てないで!」と取っておく私を白い目で見ていたスタッフも、ちょっとは見直してくれたのではないだろうか。

「開館30周年記念 特別企画展  昭和のくらし 昭和の一隅」
      2024年 1月2日(火) ~ 3月3日(日)

(森拓也 もり・たくや/四日市市立博物館)
[2023/11/15 22:00] | 未分類 | page top
【三重県博】四字熟語や百人一首にもトリが・・・
現在、三重県総合博物館(MieMu)では第35回企画展「鳥のひみつ調べ隊! みて・きいて・ふれて」を開催しています。

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館蔵資料を中心に生物としてのトリの特徴や、絵画・工芸等に取り上げられた鳥など(生物としての鳥はカタカナの「トリ」で表しました。生物としての人も「ヒト」とカタカナ表記する場合が多いです)、自然系、人文系、民俗系を含めた展示を行っています。トリの剥製や骨格標本をはじめ、鳴き声や絵画などさまざまな展示を行っていますので、「みて・きいて・ふれて」トリの秘密を調べてみてはいかがでしょうか。来館お待ちしています。

さて、今回は趣向をかえてクイズを出してみましょう。四字熟語や百人一首に含まれるトリを取り上げてみます。まずは四字熟語から。カッコ内に入るトリにちなんだ漢字は何でしょうか。

夫婦の契りや男女の仲睦まじさを表す「(A)之契」(Aには漢字2文字が入ります)、「比(B)連理」、美人のたとえの「沈魚落(C)」、月と太陽、あるいは時間をあらわす「金(D)玉兎」、「白兎赤(D)」(どちらも同じ漢字が入ります)、あまり良い意味ではないが「陶犬瓦(E)」、「(E)鳴狗盗」(どちらも同じ漢字が入ります)。トリにかかわる熟語やことわざなどは他にもたくさんあります。興味があれば調べてみては。

次に、百人一首に出てくるトリについて。こちらは番号と詠み人を挙げてみます。「3.柿本人麻呂」、「6.中納言家持」、「62.清少納言」、「78.源兼晶」、「81.後徳大寺左大臣」。いかがでしょうか?

ちなみに、四字熟語の答えはA:鴛鴦、B:翼、C:雁、D:烏、E:鶏です。また、百人一首の答えは、3:「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」、6:「鵲(かささぎ)の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」、62:「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」、78:「淡路島通ふ千鳥の鳴く声に幾夜寝覚めぬ須磨の関守」、81:「ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる」でした。

答えに出てくるトリはいずれも今回の企画展で剥製標本を展示しています。ぜひ現物を見てください。

(守屋和幸 もりや・かずゆき/三重県総合博物館)
[2023/11/05 22:00] | 未分類 | page top
【亀山歴博】刀剣撮影に挑んだ結果の話
皆様覚えてますか。去る令和5年6月18日付けのこのブログで、「【亀山歴博】刀剣撮影に挑む」という題で、秋に開催します第41回企画展「きらめく亀山刀剣鐔―国助・正吉・国友・間―」の為、暗室を組み立てて、その中で初めて学芸員が自ら刀剣を撮影する準備の様子を紹介していました。 そして、現在、御蔭様で予定通り企画展を立ち上げる事ができ、12月10日(日)までの間、たくさんのお客様にこの展示を御覧頂いているところです。

 ところで、先の刀剣撮影はどうなったでしょうか。上手くいったのでしょうか。刀剣撮影はある意味、歪(いびつ)な鏡面を撮る様な感じ。映り込みを気にしつつ、刀剣の全体の姿は勿論、茎(なかご)、茎の銘文、地鉄(じがね)、刃文(はもん)、地沸(じにえ)、帽子(ぼうし)、鋒(きっさき)など、鑑賞として注目される所々が写真で確認出来るかが、資料写真としての善し悪しになります。そして、これら所々が被写体となるのに必要なのが光と影の出現の仕方でした。つまり、撮影ライトの当て方で全くファインダー越しの刀剣の表情が変わっていくのです。これは他の資料でもそうなのですが、刀剣は他の資料の追随を許さないぐらい、ライトの僅かな角度や距離、明るさで変わっていくのです。ライトを当てたら脚立を上り、ファインダーを覗き、あかんかったら、脚立を下りて、またライトを当て直して脚立を上り、ファインダーを覗きの繰返しがひたすら続き、これでと決まったら漸くシャッターを切るという感じでした。もうへとへと。
 そして、何とか図録に耐え得る資料写真が仕上がりました。それが【1】から【4】までの刀の写真。背景の布の皺も修正していないリアルな写真。まだまだ工夫途上の仕上がりではありますが、如何でしょうか。

【1】

【2】

【3】

【4】

 そして、刀剣鑑賞に必需な光と影。これをお客様にも実感体感頂ける様、この展示では、展示ちらしに次の説明があるんです。「【観覧にあたって】日本刀を光で照らすと刃文などが楽しめます。ぜひペンライトなどをご持参ください(貸出はしていません)」

(小林秀樹 こばやし・ひでき/亀山市歴史博物館)
[2023/10/29 22:00] | 未分類 | page top
【藤原岳】「ネコギギ保全シンポジウム ~ネコギギ保護をとおして ふるさとの未来へつなぐ~」を開催します
いなべ市制20周年 日本水大賞環境大臣賞受賞記念
「ネコギギ保全シンポジウム~ネコギギ保護をとおして ふるさとの未来へつなぐ~」を開催します。~WEBにて申し込み受付中~

ネコギギシンポジウムポスター20231002

今年度、いなべ市教育委員会は10数年にわたるネコギギの保護増殖活動が評価され、日本水大賞環境大臣賞を受賞しました。

ネコギギはナマズの仲間で愛知県、岐阜県および三重県の川の中上流域のみにすむ、体長10cmほどの国指定天然記念物の淡水魚です。三重県最北部に位置するいなべ市を流れる員弁川(いなべがわ)とその支流にすむネコギギが絶滅の危機にあることがわかり、いなべ市では室内繁殖と放流による復活を試みています。

ネコギギ展水槽より20221106

大学教授等の専門家から指導を受け研究機関等とも連携して科学的根拠を持ち、地域に密着しながら事業を継続していることが、いなべ市のネコギギ保護活動の大きな特色です。

2022年「ネコギギといなべの川にすむ魚たち展」水槽展示

今回のシンポジウムでは「ネコギギの保護をとおして ふるさとの未来へつなぐ」と題して、長年、いなべ市のネコギギの調査・保全にかかわってきた研究者を中心に、市民のみなさんに向けてわかりやすく講演やパネル談議をします。
また、ネコギギの保全に関わる学校、国・県の関係機関、水族館等によるポスター発表も行います。

【日程】
午後1時より<市民ホール広場前>
・ポスター発表(ネコギギに関わる学校・行政・水族館等13団体)
午後2時より<市民ホール>
・ 十社小学校 児童による学習発表
・ 基調講演 「ネコギギの自然史と保全への挑戦」渡辺勝敏(京都大学)
・ パネル談議 「”郷土財”としてのネコギギの保全」
コーディネーター  森 誠一(岐阜協立大学)
パネリスト  江戸謙顕(文化庁) 渡辺勝敏(京都大学)
田代 喬(名古屋大学)里中知之(元志摩マリンランド)
<入場料> 無料
<定 員> 200名(先着順)
<申込み> WEBにて申し込み受付中  締め切り10月27日

なお、シンポジウムの会場の藤原文化センターにおいて、10月28日から11月26日まで、藤原岳自然科学館特別企画展「ネコギギといなべの川にすむ魚たち」を開催しています。
 三重県内で、天然記念物のネコギギを公開しているのは藤原自然科学館だけです。ぜひお越しください。

ネコギギ 雄親と幼魚

藤原岳自然科学館のトップページ

ネコギギ保全シンポジウムのページ

(片山司 かたやま・つかさ/藤原岳自然科学館)
[2023/10/25 22:00] | 未分類 | page top
【四日市市博】日本の四季
 現在開催中の四日市市立博物館開館30周年記念展「立原位貫」の出品作の中に、「京名所四季図屏風」(2006-07年)という作品がある。衣桁屏風の下部に「春・二条の桜」「夏・白川の柳」「秋・高台寺の萩」「冬・木屋町の松」が描かれたパネルを季節ごとに入替える、アイディアに富んだ面白さと、四季折々の雰囲気を感じさせるものだ。

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 この夏の暑さの中で、展示のための準備や写真撮影をしながら現実世界も早く秋のパネルに入替え出来ないものかと切実に思った。それにしても今年の夏は暑かった。東北生まれの私が、名古屋に就職で初めて来た約50年前の夏、余りの暑さに寝不足になり、体調を崩して鼻血を出して引っ繰り返った頃よりもなお、暑かったことは記録が物語っている。やはり近年の地球環境は変だ。有無を言わされぬ危機が迫っているのかも知れないな、と考えさせられる。
 近いうち日本では極端に暑い「夏」と寒い「冬」だけが残って、その間の「春」と「秋」は、ものすごく短い期間か、ほとんど無くなって、つまり「四季」が無くなってしまうのではとさえ思う。私は美術史(特に日本画)や日本文化史が専門なので、日本の美術や文学、文化、年中行事から生活習慣にまで至る全ての大本である「春・夏・秋・冬」の四季の喪失は、日本のアイデンティティーの喪失とさえ思っている。「四季花鳥図」って何? 「お花見」や「紅葉狩り」っていつやるものなの? なんて言う若い人が増えてきたらどうしよう。
 幸い四日市の『そらんぽ』には、「過去から未来の中の現在」を学ぶ博物館と、
「宇宙の中の地球」を学ぶプラネタリウムと、「自然の中の人間」を学ぶ公害と環境未来館の3つが揃っている。これらの施設の特色を生かしつつ、連携し、一歩ずつ進んでいくのが、私たちに課せられた役目なんだろうな、きっと。


 (吉田俊英 よしだ・としひで/四日市市立博物館)
[2023/10/23 23:00] | 未分類 | page top
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