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【三重県博】第33回企画展「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」が始まります
 春の企画展「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」[1]を4月22日(土)から6月18日(日)まで開催します。この企画展では親鸞自筆の文化財を多数所蔵する真宗高田派本山専修寺の特別協力の下、国宝2件15点、重要文化財11件91点を一挙公開するとともに、晩年京にいた親鸞と遠く離れた関東の門弟たちの交流を、親鸞直筆の消息や典籍からひもときます。この企画展の見どころなどについては、「みえんしす」40号に担当の太田学芸員へのインタビュー記事[2]を載せておりますので、是非ご覧ください。

 わが国では、文字表記に漢字、ひらがな、カタカナ、英文字等を自由に使うことができ、さらに、縦書き、横書きも選択可能なので、文書表記は非常にバリエーションがあります。特に古文書では、漢字については楷書体、行書体、草書体、ひらがなであれば変体仮名もあり、崩し字や連綿も含まれていて、残念ながら理系出身の私にはほとんどその内容を読みとることができません。しかし、今回展示されている親鸞筆 国宝「三帖和讃」では、一文字一文字丁寧に書かれており、さらに漢字の横にカタカナで読みが書かれているので、その内容を読んで理解ができます。インタビュー記事[2]によると、親鸞はさまざまな人たちに著作物を紹介する際に、写本を作り、ふりかなや註を書き加えたり、あるいは漢文ではなくかな交じり文で書きつけたりと、色々な工夫を凝らしたようです。

 情報機器が普及している現代、ほとんど手書き文字を目にすることはなくなりましたが、「字は体を表す」-「名は体を表す」という諺の変形だそうですが[3]-という表現があるように、手書き文字は書き手の個性が窺える貴重な情報源になると思います。是非とも、今回の企画展では多くの古文書をご覧になって、書き手の個性に思いを巡らしてみてはいかがでしょうか。

[1]三重県総合博物館Webページ:https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/p0031300084.htm
[2]三重県総合博物館誌 みえんしす 40号p1-p3
[3] 「字は人を表す」ってことわざ?https://snow62.com/kotowaza/
[2023/04/16 22:00] | 未分類 | page top
【四日市博】牧野富太郎と四日市
「牧野先生、ぶしつけなお願いですが、どうぞ今回の『牧野富太郎が見た四日市』展が成功しますようにお力をお貸しください」

牧野博士の墓
牧野博士の墓

神頼みなどついぞしたことが無い私が思わず手を合わせて祈ったのは、日本の植物学の父、牧野富太郎博士の生まれ故郷である高知県高岡郡佐川町の牧野公園にある博士のお墓。実は四月から始まったNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』のモデルととなった牧野博士と四日市とは少なからぬ因縁がある。四日市で自生しているのが発見された国の天然記念物である梨の原種イヌナシ、アイナシや、楠町本郷(当時は三重郡本郷村)で発見されたホンゴウソウは、いずれも牧野博士が新種として記載・発表されたものだ。

ところで、水族館一筋に40年余を過ごしてきた私が、母親の介護のために実家の四日市に戻り、四日市市立博物館に居場所を得て、はや6年。植物学なんて海藻以外は門外漢だったのに、自然科学系の学芸員だというだけで植物標本にどっぷり浸かるハメになり、最近は植物そのものよりも、古い植物標本の修復にハマっている。折りも折り、市内の楠交流会館から120年前の植物標本970点が移管され、その中の数十点のラベルに『牧野富太郎先生命名』という朱印が押されていたから、さあ大変!

早速これを修復し、市民の皆様に見て頂こうということになったのだ。

会場風景2
会場風景2  高知県立牧野植物園提供

「高知の牧野植物園へ行ってきます!」

自叙伝や様々な本で得た知識しかない牧野博士を知るには、まず生誕の地へ行かねばなるまい。幸いにも高知市五台山にある牧野植物園からは全面的な協力を得ることが出来た。

残念ながら、当時、牧野博士が訪れたであろう四日市の地は、イヌナシ、アイナシの自生地や、記録にある垂坂山以外は知る由もないが、ドラマのヒットと共に、四日市市民が牧野富太郎博士に親しみを持ってくれることを祈ってやまない。

会場風景1
「牧野富太郎が見た四日市 ~120年の時を超えた植物標本~」
令和5年5月7日まで。四日市市立博物館で開催(入場無料)

(森 拓也 もり・たくや/四日市市立博物館)
[2023/04/12 22:00] | 未分類 | page top
【亀山歴博】亀山市歴史博物館の新しいランドマーク「ポケふた」
 令和5年度になりましたね。いずれの館も春の展示に向けて、追い込みをかけているのではないでしょうか。斯く言う亀山市歴史博物館も、4月29日(土)からの企画展立ち上げに向けて、毎日てんてこ舞いの状況です。

 そんな状況ではありますが、最近事務所では、こんなことが話題になりました。もしドローンで亀山市内を撮るとしたら、地区のランドマークといえるものが写ってると、空中写真でも、それがどこの地区かわかるやんなあ、という会話。

 では、何がランドマークになるのか。日々出会う市内の風景を思い浮かべながら、皆が頭を巡らせました。亀山市に暮らす皆さんが知っているランドマークの上位は、やっぱり小学校や中学校かも。これを切っ掛けに、だれもが知っているであろうものが、ランドマークとして挙げられました。

 ところで、改めて「ランドマーク」の意味を、事務所にある『官公庁のカタカナ語辞典』で引くと、まず第一義には「陸上の目標」とありました。その他に「その土地の目印や象徴となっている建造物、歴史的建造物」という意味がありました。この意味からすると、「ランドマーク」というのは、その土地で相対的に目立つ建物。高さがある建物といえそうですね。

 その次の意味には、「都市・建築景観の向上に資する施設」とあり、例として、ストリート・ファニチャー(街灯やベンチ、電話ボックスなどの街路備品のことだそうです)、ライトアップの照明施設(亀山城多門櫓はこれやな)、植栽、彫刻、緑地、遊歩道、ランドマーク、親水公園などがあげられています。単に目印ということではなく、景観との関係もあるんですね。

 この例からすると、高さだけに固執しなくてもよいのかもしれません。空中からのランドマークだと、確かに高さのあるものに固執しなくてもよくて、寧ろ面の広がりがあれば、その土地の目印になりそうですからね。

 亀山市歴史博物館の立地は亀山公園の隣接地です。博物館正面玄関の向かいには、公園のランドマークといえる背の高い時計塔が建っています。実は最近、三重県が包括連携協定を結んだ株式会社ポケモンから、ポケモンがデザインされたマンホール「ポケふた」が亀山市に寄贈され、時計塔の根元近くに設置されました。

20230409亀山 (1)
1公園のランドマーク時計塔とランドマークの新しい仲間「ポケふた」

20230409亀山 (2)
2設置工事完了直後の「ポケふた」

20230409亀山 (3)
3「ポケふた」のアップ

 時計塔、広場、博物館、「ポケふた」。面のランドマークとして「ポケふた」を楽しんでいただいた後は、ぜひ亀山市歴史博物館もお楽しみください。蓋なので高さはありませんが、「ポケふた」は博物館とって、お客様にご来館頂く新しいランドマークの一つなのです。

(小林秀樹 こばやし・ひでき/亀山市歴史博物館)
[2023/04/09 22:00] | 未分類 | page top
【四日市博】《金唐革》
 現在、秋に開催する四日市市立博物館の30周年記念「立原位貫」展の準備の真最中である。四日市ゆかりの木版画家で、江戸浮世絵の復刻作品を究めて、粋で個性的なオリジナル作品に至る「想像力から創造力へ」の作家の生涯を描き出した展示にしようと必死だ。その概要については先般のブログに紹介させていただいた。

金唐革(向左)
金唐革(向左)

金唐革(向右)
金唐革(向右)

 その中で、《金唐革・人形手(きんからかわ・にんぎょうで)》(1983年)という作品がある。これは早稲田大学教授で、歌舞伎をはじめとする古典芸能研究の第一人者、郡司正勝氏の古希記念出版の『かぶき夢幻』という本の表紙のために作られた作品である。江戸時代の図案集『装剣奇賞』の中にある絵に、郡司氏の「歌川国芳風の色彩をアレンジした作品を作って欲しい」という注文に応えたものだ。キューピッドが出てくるエキゾチックな絵を、立原は洋の東西が交差したようなオリエンタルな雰囲気の作品に仕上げ、現代にも通用する実に魅力的な作品になっている。

 そもそも「金唐革」とは欧米の皮革工芸品のことであり、唐草や花鳥などの文様や型を使って浮き上がらせ彩色したもので、宮殿や市庁舎などの室内装飾品であった。日本へは江戸前期に伝わり、異国情緒で人気を博すも、鎖国で入手困難なため、和紙を素材とした代用品「金唐革紙(擬革紙)」が開発され、近代まで続いた。そして、その開発された地こそ伊勢地域であるという。現代でも復刻の動きがあるらしく、もっと注目してもよい技術・美術なのではないだろうか。

 ちなみに、この作品は復刻作品に立原流のアレンジを加えて、新たな作品へと昇華させる、まさに「想像力」から「創造力」へとつなげて行く、オリジナル作品への助走ともなった。

(吉田俊英 よしだ・としひで/四日市市立博物館)
[2023/04/02 22:00] | 未分類 | page top
【朝日歴博】令和5年度事業について
朝日町歴史博物館の片山です。

2度も原稿を遅らせてしまい申し訳ありません。
3度目は無いようにいたします。

当町の人事異動の内示があり、新聞発表もありましたのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、私の異動はありませんでした。
令和5年度もどうぞよろしくお願いします

先週の3月17日(金)で3月議会が無事終了しました。

令和5年度は4月に町長選挙があるため、予算は通年の予算ではなく、政策的な判断が必要な事業を計上しない「骨格予算」となっています。

企画展の予算は、4月から始動する必要があることから当初予算に計上していただけましたが、財政状況が厳しいため、令和5年度も企画展の開催は1回限りとなり、また、要求額からも減額された形での予算となってしまいました。

また、企画展以外の予算につきましても、予算計上されない、又は減額という結果になってしまいました。
そういった厳しい財政事情の中でも、令和5年度の朝日町歴史博物館では下記の事業を実施いたします。

【令和5年度博物館実施事業】
 ・企画展(年1回)
・古文書学習会(年7回)
 ・文化教養講座(年3回)
 ・俳句作品展(年2回)
 ・その他(博物館実習等)

この他、図書館においてもいろんな年代に対応した教室やイベントを実施する予定をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(片山裕之 かたやま・ひろゆき/朝日町歴史博物館)
[2023/03/29 22:00] | 未分類 | page top
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